突破力あるリーダーとは(上) 新世代リーダー 石川康晴 クロスカンパニー社長

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次に、中国への海外展開の話に移りたいと思います。考えたことは3つあります。

まだまだ小さな会社なので大きなストラテジーは考えていませんが、一つ目は、社長が行くしかないということです。大事なのは、創発戦略だと考えています。頻度よく軌道修正するという概念です。果たして「お前が行って来い」と言われた課長でできるのか、非常に疑問を感じています。中国は法律が始終変わりますし、マーケット、競合などの外部環境もよく変わるので、頻度よくストラテジーを軌道修正していくことが一番大事ではないかと思っています。

我々は2年ほど前から中国の調査をかけていましたが、プロダクト、商品に関しては現地化する必要がないと分かりました。中国の消費者は日本のライフスタイルを買いに来ている。従って中国人デザイナーがつくったものはいらないというのがアパレルの考え方です。

中国では、社長ではなく店長

別の業界では現地化、現地化と言われていますが、アパレルは、現地化しないでほしいという声が非常に強いです。ただ創発戦略としては、サイズや色に関しては見直しをしなければいけないと考えています。

中国では強い色が売れます。小さいサイズが売れます。プライスは、日本の1・5倍ですが、創発戦略でアイテムごとに倍率を変えています。キャミソールのような低価格の商品に関しては1・25倍にするべきだし、ジャケットやコートのような高額品に関しては1・7倍ぐらいにすることもあります。平均すれば1・5でいいのですが、細かく変えていかなければいけないということがようやく見えてきました。

チャネル戦略においては、当初ビックマウスで中国1000店舗直営展開をするとメディア記者会見で発表しました。しかし、地方の百貨店にプレゼンテーションしていくと、マーケットが閉鎖的なのです。日本のヤングセグメントで300億のブランドだとプレゼンテーションをしても、「いくらくれるのですか?」と。重慶、成都、武漢、南京、瀋陽含めて地方に関しては、地元の有力者、代理商と呼ばれるフランチャイズとうまく組まないとチャネル拡大ができません。

一方で上海と北京は開放的で、非常にビジネスミーティングもしやすいです。開かれた上海と北京は直営戦略、そして地方はフランチャイズ、さらに小さいマーケットは地元のセレクトショップに卸すというハイブリッドで、2014年までに120店舗チャネルを広げたいと考えています。

また、中国でのプロモーションについて最近少し考えが変わりました。それは「ライブが必要である」ということです。

中国のマーケットでは、女優にあまり価値がありません。もっと言うとモデルにもあまり価値がありません。今、中国の中で一番価値があるのがミュージシャンだと言われています。

そこでブランドとミュージシャンをどう刷り込ませるかがブランディングでは重要になってきていますので、次の戦略として、アフターライブというものをオープンの目玉イベントにし、北京に9月、それを含めてこの秋にも11店舗、中国に出店をしていきます。このような小刻みな創発戦略が中国マーケットでは必要だと思っています。

実は、中国にいるときは毎日店に行っています。中国では社長ではなくて店長だと思っています。1店舗目、2店舗目を確実に軌道に乗せない限り、中国での拡大路線はできないと感じたので、中国ではスーツを着ることはありません。毎日ジーンズにスニーカーで店に行っています。

創業18年目にしてもう一度店に立てる、いい機会をいただいたと思っています。やはり現場主義、現地に入ることが一番大事なのではないかと思います。そして大きなマーケットで勝負していくということを決めたのであれば、自らが先頭を切って乗り込む。こういった決意が大事なのではないかと思っています。

※続きは11月21日(水)に公開します

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