円高が進んでも訪日観光客に期待できるのか

ホテルや民泊への投資は大丈夫?

とくに、中国人訪日客については、ビザ要件の緩和より為替の影響が大きいと考えられる。中国人に対するビザ発給要件が緩和されたのは2015年1月19日からで、2013年後半から増加に転じた訪日中国人が、2015年2月以降に倍増したことから、ビザ要件の緩和が一定の役割を果たしたであろうことは間違いない。

だが、要件が緩和されてわずか半年後の2015年半ばからは、円高が進む一方で人民元が下落したのにつれて、訪日客数の伸び率は低下。2016年3月にはピークのほぼ半分に減速している。

対円元相場の推移と訪日中国人数の伸び率の動きをみるかぎり、仮に1元が16円を割り込むような事態となれば、訪日中国人数も減少に転じるという懸念も浮かぶ。

宿泊所不足でホテル建設ラッシュだが・・・

訪日客の増加に伴い、深刻化しているのが宿泊所の不足だ。全国の訪日客述べ宿泊数は6637万人泊と、こちらも過去最高を更新している。中でも東京、大阪、京都の黄金ルートと呼ばれる地域の宿泊所は払底している。たとえば、大阪本社の上場企業に所属する東京常駐のある役員によれば、大阪で開催される会議に出席するため週に1度は大阪市内で宿を取るが、昨年あたりから1カ月前でも大阪市内のホテルは予約が取れず、確保できるのは奈良だという。

「30年に1度の活況」ともいわれるホテル業界では、東名阪を問わず開発ラッシュが続く。2018年の開業を目指し、東京駅周辺や銀座・大手町などを中心に、新規ホテルの建設計画が目白押しとなっている。さらにはホテルオークラ東京やグランドプリンスホテル赤坂などの建て替えも進む。大阪では、2017年までに約5000室のホテル開発が計画されているという。これは現状から客室数が約1割も増える勘定だ。

宿泊をめぐる動きは既存プレーヤーにとどまらない。「リストランテASO」などの高級フレンチを展開するひらまつや不動産業界中堅のサンケイビル、結婚式場運営のテイクアンドギブ・ニーズなど、異業種からも続々とホテル事業への参入が相次ぐ。各社とも不動産の取得やM&Aなどに莫大な費用を投じているが、その回収には10年単位の年月が必要と言われている。

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