ロッテ免税店、中国人の争奪に"韓流"で勝負 買い物すればチェ・ジウさんに会えるかも?
“爆買い”のメッカ、銀座。今や訪日中国人の約7割が買い物に訪れる。拡大する免税マーケットを奪い合うように、ラオックス、ヤマダ電機、三越銀座など、大型免税店の出店が相次ぐが、ここに海外からの強力なプレイヤーが加わった。免税店で世界3位、約4480億円(2015年度)の売上規模を誇るロッテグループの韓国ロッテ免税店だ。
3月31日にオープンした巨大商業施設、東急プラザ銀座の8、9階に、1330坪の広さで店を構えるロッテ免税店銀座は「空港型市中免税店」の形をとる。街中にある一般的な免税店は「タックスフリーショップ」で、消費税のみ免税されるのに対し、関税、たばこ税、酒税まで免税される「デューティフリーショップ」(保税免税店)が主だ。国内では、沖縄を除けば1月にオープンした三越銀座の免税店に次ぐ2店目となる。初年度売上目標は150億円で、東急プラザ銀座の売上目標である330億円の約半分を稼ぐことを期待された、中核店舗である。
店内には150を超えるブランドがひしめく。百貨店で売られるような高級ブランドに加えて、人気の高いコーセーの「雪肌精」や日焼け止めなど、ドラッグストアを中心に展開する商品も豊富に取り扱う。さらに、日本に来た中国人の食指が動くかどうかは未知数ながら、韓国で中国人観光客に”爆買い”されている、アモーレパシフィック社の化粧品や朝鮮人参など、韓国企業ならではの商品もぬかりなく揃える。
日本で売り上げ1000億円を狙う
ロッテ免税店は、拠点の韓国に8店(1店舗はオンライン)、海外ではインドネシアとグアムに3店を構え、訪日中国人が急増した2014年には関西空港への出店をもって日本へ進出しているが、同社が得意とする市中免税店は今回の銀座店が初の試みとなる。今後は、国内の大都市圏を中心に、5年以内に5店の出店を計画しており、2017年には大阪の難波、その後は新宿に進出することも決まっている。10年以内には、日本事業の売上を1000億円まで拡大させる計画だ。
同社の日本事業社長を務めるリヴァンプの澤田貴司社長は、「2年ほど前、公私共に仲良くしているロッテグループの重光昭夫社長から『日本に本格的に進出したい』との話があり、翌週には東急不動産の金指潔会長とともに韓国へ飛んで、実現した」と、ロッテの銀座進出の背景を明かした。
同社が本格的に日本市場への進出を決めた背景には、中国人の日本旅行ブームで、韓国旅行需要が冷え込んでいることがある。JNTO(日本政府観光局)によると、2015年の訪日中国人は過去最高の約500万人で前年比7%増えた。それに対して、韓国を訪問した中国人観光客数は600万人と数では日本を上回るが、前年比では2.3%減少(韓国観光公社)。韓国政府は、MERS(中東呼吸器症候群)の流行をその原因として挙げ、2016年の回復を見込むが、日本が国を挙げて行う、ビザ発給要件の緩和やクルーズ船の誘致といった観光政策が奏功し、客を奪われているのも減速要因の1つだ。そこで、打開策を日本進出に求めたのは自然な流れだろう。
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