円高が進んでも訪日観光客に期待できるのか ホテルや民泊への投資は大丈夫?

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こうした状況に懸念を示すのが、BNPパリバ証券の河野龍太郎・経済調査本部長だ。「実質実効レートが大幅な円安となった2000年代半ば、国内回帰をとなえ大幅な設備投資を行い、過剰設備に陥ったのが電機セクターだった。それと同じことが足元の観光業で起きているのではないか」と指摘する。

企業だけにとどまらない。政府の旗振りもあって民泊が儲かるとみて、住宅を貸し出すホスト(家主)が増えている。ホストになるため、借り入れ枠いっぱい、頭金なしのフルローンで中古マンションを購入したり、数百万円をかけて部屋を改装したりする人もいる。

賃貸向け住宅のリノベーションに特化するエイムズでは、民泊も視野に入れた改装も行っているが、松島力社長は「民泊による収入はあくまでボーナスであり、賃貸不動産の収益の範囲内で返済計画を立てるべき」と警告する。ただ、外国人旅行者が落ち込むとの想定はしていないという。大田区で民泊事業に参入したITベンチャーの百戦錬磨も、「外国人旅行者が減るとは想定していないので、民泊事業にリスクがあるとは考えていない」という。

円高が進めば訪日客は潮が引くように減る?

ドル円レートは2015年6月の1ドル=125円が円安のピークで、その後反転、円高基調が持続している。足元では1ドル=108円と2014年10月以来の円高水準まで戻ってきた。前出の河野龍太郎氏は「実質実効レートでみると依然として超円安。今後、国際金融市場の動揺をきっかけとしてさらに大幅な円高が進んでもおかしくない」と分析する。

円安の大幅な修正、円高が進んだとき、これまでと同様、外国人は日本を訪れるのだろうか。すでに訪日外国人が遣った1人当たりの旅行支出は、2015年7~9月の18.7万円をピークに徐々に減ってきており、足元の2016年1~3月では前年同期比5.4%減の16万1746円となっている。「爆買い」と言われた中国人の支出でさえ、同11.8%減とマイナスに転じた。潮が引くように訪日客が激減したとき、あとに残されるのは観光業を巡る過剰投資の山、ということになりかねない。
 

筑紫 祐二 東洋経済 記者

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ちくし ゆうじ / Yuji Chikushi

住宅建設、セメント、ノンバンクなどを担当。「そのハラル大丈夫?」(週刊東洋経済eビジネス新書No.92)を執筆。

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