福井信英
前編のコラムでは「単位の取り方」について述べてきたが、大学側の「カリキュラムの立て方」もおおいに工夫する余地があると思う。
先日、ある大学関係者の方とお話する機会があったのだが、そこで衝撃の話を聞いた。
その方が教鞭を執っておられる大学では、就職活動で必要になる筆記試験(=SPI)の対策のための「SPI対策」という講義があり、それが単位として認定されているとのことなのだ。
あっていいのか!?そんなこと。
確かに、少子化が進む現在、大学にとって卒業生の就職率というのは、非常に重要な経営テーマとなっている。しかし、就職率を高めるために、「SPI対策」を科目として実施し、単位を与えるというのは、本末転倒なような気がする。
就職率を上げるということであれば、筆記試験の対策をすることよりも、大学本来の目的である教育の質を上げる、というのがまず第一ではないだろうか。
もちろん、将来の夢や目標に向けた有効なカリキュラム選択の仕方が分からない学生も多いだろう。だから、有効なカリキュラム選択の仕方を伝えるガイダンスの類はもっと積極的に行ってもいいと思う。
しかし、もっと根本的なことをいうと、学部・学科の人数の再編成を行うべきではないか。
理系は数的にも質的にも高いレベルを保っていると思うが、文系学部に関しては時代の変化に合わせた人数構成をすべきだ。具体的なことをいうと、「法・経・商(経営)」に関する学部を増員したり、それらの科目を他学部であっても必修科目としてはどうかと思う。実際の就職先として、企業を選ぶ学生が多いにも関わらず、経済や経営、法律の学部人数は少ない、と思うのだ。学部名や定員を変えるのが難しければ、これらの基礎的学問を学べる機会を増やすと良いと思う。
(入試偏差値を維持・向上させるために、学部を細かくし、新設学部を作り、受け入れ人数を減らし、質を保つという大学側の戦略も分からなくはないが、、、)
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