高級路線でコンパクト勝利狙う富士フイルム
「スマートフォンの普及に押されコンパクトデジカメ、特にローエンド(の製品)に大きな影響が出ている」。
10月9日。東京都内で開かれた富士フイルムの新型デジタルカメラ発表会。冒頭に登壇した富士フイルムホールディングスの古森重隆会長・CEOは、市場が縮小傾向にあるコンパクトデジカメについて危機感をあらわにした。
民間調査会社のテクノ・システム・リサーチが8月に発表した最新予想によると、2012年度のコンパクトデジカメの総生産台数は前年比16.4%減の9676万台まで落ち込む見通しだ。
一昔前なら写真は現像して個人で楽しむぐらいしかなかったが、今やフェイスブックなどSNS上に画像をアップロードして共有するという新しい楽しみ方も広がっている。日常使うぐらいなら、一定程度の性能を持ったカメラを搭載したスマホが1台あれば十分。一方、本格的な画質を追求するユーザーは一眼レフやミラーレス一眼といった、高性能なモデルに関心を寄せている。
まさにその狭間にあるコンパクトデジカメの存在感が問われる中、カメラメーカーもあの手この手で、巻き返しを図っている。富士フイルムが推し進めるのは「高級路線」。9日に発表、11月に発売するデジタルカメラの新製品は2機種(同社製ミラーレスデジカメに対応する交換レンズも発表)。このうちコンパクト型では、高級機に位置づける「XF1」(=写真=)を投入する。
「XF1」は、「女性のハンドバックに収まる薄さ、軽さ」(樋口武・同社電子映像事業部長)で、直線的なアルミボディを合成皮革で包んだファッション性の高いデザインを採用。機能も充実した。もう一つはミラーレスタイプの「X−E1」。先行する「Xpro1」の高画質を維持したままで、小型・軽量化を実現した。