期待役割と陥りがちな思考の罠とは?

ミドルリーダー座談会-Part1

 

■上司を立てるくらいの気概を持つ(井手)

荒木:逆にその弊害というか、マイナス面はないでしょうか。例えば、妙に目標をこねくり回してしまったり、変に理屈っぽくなってしまったり。質問はいっちょまえだけど、その質問に何か意図はあるのかとか(笑)

藤井:言われたことを単に疑えばいいという話でもありませんよね。

荒木:今度は逆にね。その辺のバランスをどこでとるかがポイントになる気がしています。いきなり「え? 3000万円? どうしてですか?」と言っても、「お前はただやりたくないだけじゃないのか? 色々言う前に早く動け」と。このあたりのコミュニケーションのあり方について、なにかお考えはありますか?

藤井:自分の目標に自分で納得出来ないと、本気で頑張れないですよね。「そんなのどうせ無理無理」という感じになってしまって。自分のなかで「ああ、そうか。それならやっぱりこれはやらなきゃな」となるためには、「何故3000万円なんですか?」という質問は健全かなと思います。自分がコミットしたいから聞くのであれば健全だということですね。やりたくないからなんとか理由を探して「どうしてですか?」と聞くのとは違うかなと。

井手:私も目標を自分のものとするためには避けて通れない通過点という気がします。ここは、コミュニケーション力のほうが大切ですね。詰問調で「なんでですか?」なのか、「自分のものとしたいので教えてください」なのか、あるいは上から目線で「3000万円ぐらいで良いんでしたっけ?」なのか・・・(笑)

私が前職で意識していたのは、先ほどの「戦略を自分のものにする」といったようなことを、二つ上の上司の視座から考えてみようとすることでした。仮に上司が偏った解釈をしていると、その偏った情報が入ってきてしまう。で、自分までそれを再現しようとすると更に偏ってしまいますよね。そこで二つ上・・・、三つ上でも良いのですが、せめて二つ上ぐらいの考えまでは、「今置かれている環境はこうで、こうしなければいけない。それであそこにソースを張らなければいけないということだな」ですとか、「事業ポートフォリオ的に考えると、この辺でそろそろ利益重視に切り替えて、いかにコストをかけないかについて考えていこうという話だな」ですとか、そういう視点で考えてみる。上司の悩みを理解しようとすると、おのずと正しい解が見えてきます。

ただその結果として、よくある“俺の直属の上司ダメ論”みたいな話に陥るのは不健全です。私は、「上司を育てるのは部下の役割の一部」と考えています。部下の目線から、上司を上司らしく振る舞わせなければいけない。たとえば上司の上司が部長だとしたら「部長としてはこのあたり、どのような思いで仰ったのですかね・・・」などと問いかけ、一緒になって考えていけばいいのではないでしょうか。

戸津:そんな人に囲まれたい(一同笑)。

井手:そういう部下は「この上司を担ぐかどうか」をシビアに考えていますよ(一同笑)。

《プロフィール》
井手伸一郎(いで・しんいちろう)
名古屋大学理学部物理学科卒業後、KDDI株式会社にて営業企画部門及び事業企画部門に従事。現在A.T. カーニー株式会社にて経営コンサルタントとして、戦略立案・BPR・組織再編などを担当。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻(経営学修士(専門職/MBA)2009年修了。

 

戸津涼(とず・りょう)
慶應義塾大学商学部卒業後、「食」の価値・意義を信じ一貫して「食」ビジネスに従事。現在、株式会社レインズインターナショナルにて取締役執行役員として、経営戦略本部を管掌。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻(経営学修士(専門職/MBA)2011年修了。

藤井久仁子(ふじい・くにこ)
大学卒業後、老舗の日系ホテルに入社。人事部にて採用、教育、制度企画、労務など幅広く携わる。社会人10年目に転職し、関西における世界的規模のテーマパーク立ち上げ事業に人事担当者として参画。開業後も事業部門に入り込んだ人事マネジャーとして従事。2006年に現在の会社に初代人事部長として着任。2010年から現職。グロービス経営大学院経営研究科経営専攻(経営学修士(専門職/MBA)2010年修了。

荒木博行(あらき・ひろゆき)
慶応大学法学部卒業。スイスIMD BOTプログラム修了。
住友商事(株)を経て、グロービスに入社。グロービスでは、企業向けのコンサルティング、及びマネジャーとして組織を統括する役目を担う。その後、グロービス経営研究所にて、講師のマネジメントや経営教育に関するコンテンツ作成を行う。現在は、グロービス経営大学院におけるカリキュラム全般の統括をするとともに、戦略ファカルティ・グループにおいて、経営戦略領域におけるリサーチやケース作成などを行う。講師としては、大学院や企業内研修において、経営戦略領域を中心に担当するとともに、クリティカル・ シンキング、ビジネス・ファシリテーションなどの思考系科目なども幅広く担当する。
Twitter:http://twitter.com/#!/hiroyuki_araki
Facebook:http://www.facebook.com/?ref=home#!/hiroyuki.araki

 

 

 

◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2012年9月28日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。

 

 

キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 就職四季報プラスワン
  • 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
  • 最新の週刊東洋経済
  • 最強組織のつくり方
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
「氷河期」を救え!<br>どこまで進む?就労支援

バブル崩壊後の不況期に学校を卒業し、就職難に苦しんできた「氷河期」世代。彼らをめぐる状況が変わり始めています。政府は650億円を投じ就労支援を開始、中小企業の正社員採用も広がってきました。この好機を生かす秘訣を探ります。