業界初のポイントサービスで商機広がる--住岡浩二・日立建機日本社長《キーマンを直撃》
1カ所に何百人もいる工場ではなく、250拠点に散らばっている人が全員やる気になってくれて、全国規模でいろいろな効果が出てきているのは非常にうれしいですね。実際に業績が上がったことで、弾みもつくでしょう。社内では意識改革がうまくいき、お客さんにも評価されて、ポイントの会員数も複数取引も増えているのですが、あまりにもうまくいきすぎて恐ろしいです。
--国内の建設投資は縮小傾向にあり、中長期的な環境自体は厳しいと思われます。その中で、建機業界には何が求められるでしょうか。
今は震災の復興需要で少し息を吹き返していますが、少し前まで、特にリーマンショックの頃は、販売、サービスだけだとほとんどの会社が赤字でした。レンタルも赤字のところが多かった。国内の建機の販売とサービスだけでいくと、先行きはそんなに明るくありません。これからも需要は大幅には増えないと思います。お客さん自身も生き残りをかけていろいろ努力をされています。われわれもお客さんの利益が出るようにもっと貢献しないと生き残れません。
その貢献の仕方は、お客さんの施工コストをいちばん安くできるように、レンタル、販売、修理を組み合わせて提案できることが第一です。たとえば、先ほどの新型ミニショベルの販売では、ミニショベルを年間借りているお客さんに「最低数お買いになったほうが得ですよ」と提案を行い、かなり高い確率で受注できています。過去にはこのようなことはできませんでした。レンタル営業が「レンタル売り上げが減ります」と渋ったからです。
--顧客のコストが下がると、日立建機の売り上げも落ちてしまいませんか。
落ちません。お客さんが当社からレンタルしていても、修理はよそに出しているとします。その修理代をわれわれに払っていただければ、トータルでもっといい提案をしますよと訴求し、当社との複数取引を増やすのです。
たとえば土木系の現場では、同じパターンの現場はほとんどありません。石が出てきてできないなど、いろいろなことが起こります。それを解決するための機械や設備は、その時々でレンタルだったり販売だったりと変わります。現場を見て、レンタルだけでも販売だけでもない、いちばんコストが下がる組み合わせ提案をすることが重要だと思います。