東大発!「模範解答のない入試」の衝撃度

大学入試の未来像は企業の採用にあった

しかし、一方で、大学によっては、1点差で何百人、何千人という受験者が不合格になるのも事実で、たった1点の違いが受験者の運命を左右するような入試形式が本当に正しいのかという見方もある。

「公平な試験」と「不公平な試験」

有名な風刺画がある。イヌ、サル、ゾウ、鳥、魚など、様々な動物に対して、「公平な選考のために、皆さんに同じ課題に挑んでもらいます。あの木に登ってください」と語りかける試験官を描いたものだ。この絵は、アインシュタインの言葉が元になっている。

「人はみな才能を持っている。しかし、魚を木登りの才能がないと評価したら、魚は自分のことを無能だと思って一生を過ごすことになるだろう」という、公平性を追い求める教育が、一人ひとりの個性を失わせてしまう危険性を指摘した言葉だ。

医学部は、職業に直結している学部であり、かつ社会的責任も大きいため、ただの勉強秀才ではなく、医師の志を持った人材であるかどうかを入学前に確認する必要がある。それを筆記試験だけで判断することは困難であるため、多くの大学が二次試験として面接審査を採用している。東大医学部(理科3類)も、1999年から2007年まで、同じ理由で面接を行なっており、2008年からは廃止していたが、2018年から復活する。

公平な試験だけで求める人材を獲得することは不可能だ。企業活動に置き換えてみると、理解しやすいかもしれない。企業の採用を突き詰めていくと、最終的には企業と学生の「相性の問題」になる。一定の学力を備えた者ならば、その企業が必要とする資質を持つかどうかがもっとも重要な選考基準になる。

大学入試においても同じことが言える。大学は自大学の価値を高める人材を獲得したい。学生は自分のやりたいことを実現できる大学に入学したい。このマッチングが成立するか否かが重要だ。そうは言っても、それは理想論としては正しいが、いまだ学歴重視が根強い日本社会では、名前の通った大学に受験者が集中するのではないかという見解もある。

しかし、当の名前の通った大学が変わりつつある。東大の入試はもちろん、早稲田大学も、AO・推薦入試の比率を定員の6割にまで引き上げると発表した。AO・推薦入試は、簡単に言えば、まさにマッチングの度合いを確かめるための入試制度なのだ。

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