東大発!「模範解答のない入試」の衝撃度 大学入試の未来像は企業の採用にあった
企業活動において、リクルーティングは生命線。良い人材 を獲得できるかが、経営に大きく関わってくる。大学も同様に、入学者の獲得は重要な課題だ。これは、 各大学の受験者数が増えれば良いというような単純な意味ではない。自大学の教育方針にフィットした人材を迎え入れ、社会で活躍できる人材に育成するという原点的な取り組みが、大学の成長を支える柱になるということだ。
実際、ハーバード大の財源を見ると、在学生からの授業料収入は全体の20%に過ぎず、最も比重が高いのは寄付金による収入で、全体の35%にまで及ぶ。こうした寄付は、社会に出て高いポジションについたり、自ら事業を興すなどして成功したりした卒業生たちから集まってくる。
そういった人材を輩出すればするほど、大学経営は安定し、その資産運用によって、より良い教育環境を整えることができる。優秀な人材を獲得し、育成することは、大学経営の観点からしても重大なミッションなのだ。
そのため、海外大学は「アドミッションオフィサー」と呼ばれるリクルーティング専門職チームを数十人体制で組織している場合が多い。アドミッションオフィサーが自大学のブランドを背負って、入学者を選考するのだ。
東大の新傾向問題の”採点基準”
アメリカの名門大学のアドミッションオフィサーが学生選考で重視する点を、“Secret Brownie’s Recipe(秘伝のブラウニーのレシピ)”という言葉で表現することがある。アメリカの家庭で育ったら、ブラウニー(チョコレートの焼き菓子)を作れない子はいない。しかし、実際はほとんどの家庭で、そのまま焼けば美味しくできる市販のパッケージを使うので、どのブラウニーも味は大して変わらない。そこに、ひと手間かけて、工夫を加えたかどうかで、家庭の味、個性が出る。
この隠し味を、アドミッションオフィサーが「美味しい」と思うかどうか、もっというと「共感の度合い」で入学者が決まる。つまり、具体的になっていない、目には見えない要素が評価対象となっていることになる。
こうした入試選考は、結局のところは大学側の「好み」で選んでいるのであって、公平とは言えないかもしれない。入試に公平性を求める意見で特に多いのは、面接等は明確な採点基準がなく、主観的な判断が入る試験なので、公平ではないという見方だ。確かに、正解・不正解がはっきりした問題に受験者全員が一斉に取り組んで出た点数で合否を決めれば、全員が同じ条件で同じ課題に挑んだ結果なので、誰も文句は言えない状態にはなる。
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