トランプのテロ対策が極めて「危険」な理由 クリントンが提案するより現実的な対策とは
3月22日にベルギーのブリュッセルで起きた連続テロ事件が、米大統領選の話題に上がるのに、長い時間はかからなかった。
共和党の大統領候補指名争いでトップの座を争う不動産王ドナルド・トランプと、テッド・クルーズ上院議員は、予想どおり、イスラム教徒に対する厳しい措置を呼びかけた。トランプは、テロ容疑者に対する水責めの拷問を改めて容認。クルーズは、警察はイスラム教徒居住地域を「パトロールして、安全を確保」するべきだと訴えた。
クリントンが提案する「テロ対策」
恐怖を利用した空威張りは、一部の有権者には効果があるかもしれない。しかし、こうしたやり方(特定の宗教の信者をひとくくりに攻撃する行為を含む)は、同盟国との関係を緊張させ、イスラム教徒を疎外し、国家安全保障を危うくする恐れがある。
これに対して、民主党の大統領候補として本命視されるヒラリー・クリントン前国務長官は、賢く現実的な提案をした。24日にスタンフォード大学で演説したクリントンは、同盟国と協力してテロ組織を倒す計画を示すとともに、パニック反応をいましめた。「テロリストのもくろみにはまって、恐怖に飲み込まれ、私たちの価値観と人道的な義務を放棄してはならない」。
さらにクリントンは、トランプの発言を受け、いかなる場合も拷問は「行ったり、容赦したり」するべきではないし、「米国は恐怖のために萎縮して、壁の後ろに隠れたりしない」と宣言した。また、クルーズが提案するように、テロ組織の脅しに無差別爆撃で応じるのは「重大な過ち」だと断言。「安易な攻撃は誤爆につながる可能性が高い」と警告した。