トランプのテロ対策が極めて「危険」な理由

クリントンが提案するより現実的な対策とは

さらにトランプが、米国は北大西洋条約機構(NATO)への関与縮小を唱えたことについて、そんなことをすれば敵の思うつぼだと主張。「トランプ氏の言う通りにすれば、クレムリンはクリスマスのようなお祝いになるだろう」。

欧州の指導者たちが、不況、難民流入、欧州生まれの過激主義者の増加など複数の難題に直面するなか、クリントンは目先の現実的な対策を提案した。例えば、欧州諸国が国境で武装勢力と疑われる者を発見した場合、近隣諸国に自動的に通報するシステムを確立することだ。

iPhoneロック解除問題には中立的

さらにクリントンは、米政府はテクノロジー企業との協力を強化して、過激派のプロパガンダに対抗するとともに、法執行当局がテロ情報を傍受できるようにする必要があると語った。ただし、プライバシーの問題についての言及はなし。銃乱射事件の犯人が持っていたiPhoneのロック解除をめぐる、米政府とアップルとの対立でも、クリントンは中立の立場を取ってきた。

イスラム過激派テロ組織「イスラム国(IS)」に対する軍事行動については、クリントンは新たな法的整備の必要性を認めつつ、どのような法的枠組みが必要か具体的な内容は示さなかった。

共和党は、オバマ政権のテロ対策は弱腰だと、しばしば批判してきた。しかしバラク・オバマ大統領は、ジョージ・W・ブッシュ前大統領が始めた戦争を縮小する一方で、かなり執拗にテロ組織を攻撃してきた。ただそれを、あまり目立たない手法でやってきただけだ。

「莫大なコストのかかる戦争を、中東で慌てて始めるのは重大な間違いだ」と、クリントンは言った。「イラクとアフガニスタンで学んだことがあるとすれば、現地の人民と政府に自分たちのコミュニティ守らせることだ」。

(執筆:The Editorial Board、翻訳:藤原朝子)

© 2016 New York Times News Service
 

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