米高速鉄道、「トランプ政権」ならどうなる? ヒラリー、サンダースは積極推進派だが…

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2017年に就任するアメリカの次期大統領は果たして高速鉄道計画を推進するか(写真:hide714/PIXTA)

2016年11月のアメリカ大統領選に向けて、両党の予備選がヒートアップしている。では、2017年1月に就任する次期大統領のうち、誰が「高速鉄道」を推進することになるのだろうか?

各候補の政治姿勢から、大統領選と「高速鉄道構想」の関係を考えてみたい。

鉄道は民主党のカルチャー

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米北東部を走るアムトラックの高速列車「アセラ・エクスプレス=右」(写真:Hama/PIXTA)

2009年の就任以来、オバマ大統領は全米に高速鉄道を建設するという構想を明らかにした。その背景には、2008年にいわゆる「リーマンショック」を契機とした不況に対して、民主党政権としては「景気刺激策」をブチ上げたということがある。全国に公共インフラを整備することで景気浮揚を図る、その目玉として「高速鉄道構想」は位置づけられていた。

さらに鉄道というのはアメリカでは、基本的に民主党のカルチャーに属する政策である。鉄道は固定インフラ投資ということから「大きな政府論」と整合性が高いだけでなく、環境問題、雇用創出など多くの要素が民主党のイデオロギーに密着しているからだ。

これに対する共和党は、「小さな政府論」から公共投資を嫌い、労働組合を敵視する中で、地球温暖化の理論にも否定的。そのような背景から「鉄道建設」には消極的だ。

例えば、一時期は大統領候補として予備選に参戦していたニュージャージー州のクリス・クリスティ知事(共和)は、ニューヨークからフィラデルフィア経由でワシントンDCを結ぶ北東回廊線については、地元自治体として再三にわたってインフラ更新案を「潰して」きている。

では、現在、大統領予備選を争っている顔ぶれについてはどうだろう?

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