東大推薦入試の「合格実績」は誰の手柄なのか AO義塾・報道の矛盾の真相があきらかに
「やろうかという話は洋々の中でもありました。しかし、まだ内容もわからない中で中途半端なものを出すのは誠実ではないと考えやめました。仮にそれで合格者を出したとしても、洋々では合格者数を掲げることはしませんが」
AO義塾に対する悲しみ、憤り…
実はAO義塾代表の斎木陽平氏は、洋々の受講生だった。現在でも洋々のホームページ「合格者の声」には斎木氏の合格体験記が掲載されている。しかしその合格体験記の冒頭には真っ赤な字で、斎木氏とのトラブルを示唆する内容が書き足されている。
AO義塾に関する一連のことについて、江口氏は「複雑な心境。心の底からうちの卒業生であると自慢できないのが悲しい」ともらす。
不思議なことも起きた。「前編」で触れた読売オンラインの記事で「AO義塾出身」として掲載されている男子高校生が、「AERA(2016年3月14日号)」では「塾や予備校に通わずに合格した生徒」として紹介されているのだ。
AERAで取材を担当した庄村敦子氏にコンタクトがとれて、真相がわかった。
彼は鈴木寛氏(現文部科学大臣補佐官)が講師を務める高校生向けの起業家講座に参加した際に斎木氏と面識をもった。そのつてで連絡があり、AO義塾の東大推薦入試直前対策講座や合格祝賀パーティに誘われ、単なるイベントのつもりで顔を出した。
本人にはAO義塾の生徒だった自覚はまるでなく、勝手に「AO義塾出身」にされてしまったことに、家族ともども憤慨しているのだという。斎木氏から合格体験記の寄稿を依頼されたが断った。
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