「必要な保険」と「不要な保険」の正しい分類法 リスクマネジメントの考え方で線引きができる

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② 自分の貯金で対応できるかどうか。

貯金額は人によってさまざまですが、貯まれば貯まるほど、その分、保険の必要性は低くなります。金持ちは保険が要らない、というのは真実です。同じ理屈で、金持ちでない普通の人でも、その貯金額の範囲で何とか対応ができれば保険は要りません。

「貯金がないから保険に入るのだ」と反論する人がいます。貯金が貯まるまでの間に限って保険に入る、ということならば一理あります。しかしいつまでも保険料ばかりを払い続けることがないように、保険と並行して貯金を続けることが大切です。

➂万一の場合に、親族や友人の支援で対応できるかどうか。

困った時に助けてくれる親族や友人がいれば、保険は必ずしも必要ありません。人縁・地縁が希薄化した現代社会では、なかなか難しいかもしれません。しかし社会保険も貯金もない環境で暮らしている国が世界にはまだ多くあります。そこでは、家族、親族、友人たちと助け合いながら生活しているのです。今一度、あなたを取り巻く人たちと「共に助け合い(共助)」ながら「共に生きていく(共生)」可能性を考えることも、意味あることと思います。

リスクはまずは「保有」して対応する

リスクマネジメントでは、リスクはまずは「保有」して対応する、と教えます。保有とはリスクを自分で抱え込み、自力で対処する方法です。代表的なものは、貯金をして万が一に備える、ということです。次に、それで対応できないリスクは「転嫁」する、と教えています。これは万一の場合の損失を、第三者に補填してもらう方法です。たとえば、社会保険で国に保障してもらう、家族・友人から支援してもらうことです。

そして、それでも対応しきれない大きなリスクに対しては、最後の手段として「保険」に入って備えることになります。つまり、「(保険がなくとも)何とかなるのか、ならないのか」がポイントです。これが「青」と「赤」を線引きする基本的な考え方なのです。

もうひとつ、保険の必要性の是非を判断する方法として、視点を変えて大局的に保険を眺めてみることもよい方法です。

もし保険がこの世の中になかったら、日々の暮らしはどうなってしまうのか想像してみることです。自動車保険がないと、普通の感覚ならばとても怖くて運転することができません。これでは困ってしまいます。しかし、医療保険やがん保険がなくても公的な健康保険制度があります。さほど困ることなく暮らしていけるように思えます。

あるいは、全国に強力な販売網をつくり、大量の保険営業員を動員して、テレビコマーシャルを頻繁に流し続けながら売ろうとする保険という商品を改めて考えてみましょう。そこまでしないと売れない商品とはいったい何なのか。本当に人々の生活に必要なものならば、そこまでしなくても売れるようにも思えてきます。

どこまで保険は必要なのでしょうか。あなたの「赤」「青」「黄」の保険を一度棚卸ししてみてはいかがでしょうか。

橋爪 健人 保険を知り尽くした男

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はしづめたけと / Taketo Hashizume

1974年東北大学卒、1984年米国デューク大学修士。日本生命保険に入社後、ホールセール企画部門、米国留学、法人営業部門を経て米国日本生命副社長。帰国後、損保会社出向、ジャパン・アフィニティ(保険ブローカー会社)代表取締役を経て2004年独立。企業向け保険ビジネスのコンサルタントとして活動。著書に『日本人が保険で大損する仕組み』(日本経済新聞出版社)

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