“弱肉強食”を疑似体験させるハリウッド流放任教育《ハリウッド・フィルムスクール研修記5》



 1年間を通じて感じたのは、このフィルムスクールは意図的に実世界のハリウッド同様の競争環境を作り上げている、ということです。1年間で3本の短編映画を作らせ、毎回異なるメンバーとチームを作らせる、という仕組みの中では、“作り逃げ”は許されません。

ここで学ぶのは、ハリウッドで生きていくための“弱肉強食”の本当の意味。自分の意見を声高に主張したり、ただ才能があることだけが“強者”ではないことがわかります。

評判のいい学生を見ていて共通しているのは、チームメンバーたちに自分の意見を認めさせる「説得力」、逆に時には他人の意見も受け入れる「柔軟さ」、そして「こいつがやりたいなら俺も一肌脱ぐか」と周囲に思わせる「愛嬌」が備わっています。

大きなおカネとたくさんの人がかかわるハリウッド映画だからこそ、ビジネスシーンならば当たり前と思われる資質がアーティストにも求められるのでしょう。逆に言えば、言葉もままならず映画製作の経験もなかった私が1年間やってこれたのは、そういった最低限のことを日本で学んでいたからだと感じています。

これから始まるAFI2年目では、1年目よりも大規模な卒業製作プロジェクトが控えています。人間性もモチベーションも高いチームメンバーに恵まれましたので、彼らからの期待を裏切ることなく、真摯に向き合っていきたいと思います。


木野下 有市 (きのした・ゆういち)
 1980 年生まれ。慶応義塾大学総合政策学部卒業後、広告会社にて大手飲料・製薬メーカーの広告キャンペーン等を担当。2008 年8 月よりアメリカン・フィルム・インスティテュート(AFI/米国映画協会)大学院にて映画プロデュースを専攻。ギャガ会長・東京国際映画祭チェアマン依田巽氏の寄付で設立されたAFIの奨学金を受け、芸術学修士の取得を目指して勉強中。

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