「営業」だった私がフィルムスクールを選んだ理由《ハリウッド・フィルムスクール研修記2》
少し前になりますが、7月4日は米国独立記念日。ロサンゼルスで脳神経科医として活躍され、いまは引退された大学の大先輩のお宅に、花火鑑賞に行ってきました。日本のような技を尽くした花火ではありませんが、混雑とは無縁の丘の上のテラスから見下ろす花火は贅沢なものでした。
大学の先輩後輩、40人程度が集まっていましたが、このような場で「映画大学院に通っている」と伝えると、さぞ映画好きなんでしょう、と尋ねられます。たしかに、私は大学時代から一貫して、ビジネスとしての映画産業に強く引かれてきました。
しかし、実を言えば、ハリウッド映画よりも日本のテレビドラマを見るほうが好きですし、さらに言えば映画やテレビよりも、読書のほうがもっと好きです。見てきた映画の本数もフィルムスクールに入る前は人並みだったと思います。さすがに受験を志してからは見る本数を増やしましたが、それ以前は映画館にいくのは年にせいぜい2、3回でした。
大学も文系学部でしたし、広告会社で担当していたのも「営業」。一番嫌いな科目が美術だった自分が、Master of Fine Arts(芸術学修士)を取得しようとしているのですから、我ながらあきれてしまいます。
そんな私がフィルムスクールを留学先に選んだのは、それはフィルムスクールのプロデュース学科というのは、いわばMaster of Entertainment Business、つまり「エンタメのMBA」だと考えたからです。
エンタメMBAで学ぶこと
私がアメリカン・フィルム・インスティテュート(AFI/米国映画協会)で学んでいる内容は、大きく三つあります。
一つめは、ビジネスとしての映画についてです。
ここでは、映画のファイナンス、マーケティング、エンタテインメントに関わる法律など、ハリウッドビジネスの基礎を座学で学んでいます。ロサンゼルスという土地柄、授業にはハリウッドで現在活躍中のエンタテインメント弁護士、スタジオ幹部、プロデューサーが、講義にやってきます。