「営業」だった私がフィルムスクールを選んだ理由《ハリウッド・フィルムスクール研修記2》
座学とはいっても、アメリカ人はじっと座って話を聞くことが苦手です。授業ではディスカッションやロールプレイングが多く取り入れられています。
たとえばエンタテインメント法の授業の場合、生徒がそれぞれプロデューサー、スタジオ幹部、タレントエージェントなどの役になって、授業で学んだ法律知識を使って疑似交渉に臨みます。
私のように言葉が不自由な留学生には非常にストレスの強い授業ですが、疑似交渉の前にはいや応なく授業の復習をして臨まないといけないため、知識の定着には役立ちます。
また、マーケティングの授業では、この夏3カ月の北米興行収入を分析してレポートを書く課題が与えられています。
書き入れ時である夏商戦の結果と、それぞれの作品のマーケティング戦略を自分なりに分析しつつ、「スタジオのマーケティング担当になったつもりで、2010年夏に向けた提案を行う」というのが宿題の目的です。
「Variety」「Hollywood Reporter」といった映画・テレビ・音楽業界などのエンタメビジネスを専門に扱う業界紙を参考にしながら、自分なりにヒット/大コケの要因を考える。そのうえで、秋には大手スタジオのマーケティング担当幹部がやってきて、「スタジオの論理」を明らかにしてくれる。そんな構成になっています。
二つめがクリエーティブ・プロデューシングです。
よく、「ハリウッドの映画製作はプロデューサー(製作者)主導で、(今は変わってきましたが)日本はディレクター(監督)主導である」という説明を耳にするのではないでしょうか。
日本では、黒澤明監督から宮崎駿監督に至るまで、巨匠が自ら脚本を書いていた歴史もあって、映画はあくまで監督のもの、という認識が一般的です。プロデューサーというのは、いわば監督のマネジャー的な存在であり、監督のやりたいことを、ビジネス面でも両立させながら実現させていく役どころ、そんなイメージでしょう。