「営業」だった私がフィルムスクールを選んだ理由《ハリウッド・フィルムスクール研修記2》
一方、ハリウッドでは、監督が企画した映画というのは全体の10%程度に過ぎず、残りの90%はプロデューサー主導でつくられた映画といわれています。
伝統的かつ一般的なハリウッドの企画過程というのは、プロデューサーがまずストーリーを見つけ、それを脚本家と一緒に開発(Development)し、脚本がほぼできあがった時点でディレクターを雇い入れる、という流れになっています。日本でもテレビ業界はこのスタイルをとっています。
組合が力を持つハリウッドでは、脚本家に執筆させるだけでも数千万円の費用がかかります。その費用をスタジオから得るための最初の取っ掛かりであるピッチ(Pitch、2分程度の企画口頭プレゼンテーション)の手法や、脚本家へのフィードバックのテクニックなどを、授業の中で学びます。AFIでは、2年間で4~5本という数のショートフィルム製作を通じて、脚本家や監督とのコミュニケーションを実地で学ぶ機会も豊富にあります。
三つめは、フィジカルプロダクション(=物理的な製作)です。
ビジネスの仕組みを学び、企画開発方法を学んでも、それだけでは映画は決して完成しません。もうひとつ学ばなければならないのが、実際に映画を作っていく行程です。フィジカルプロダクションでは、撮影のための予算組み、スケジュール組みなどを学びます。
ハリウッドの場合、組合の規定が大きな影響を持ち、予算・スケジュールともにさまざまな制約を受けるので、まずそういったことから理解していかないことには話になりません。
授業では「ゴッドファーザー」の脚本を読んで、自分がこの映画のプロデューサーだとしてスケジュールや予算を実際に組んでみます。その後に実際に「ゴッドファーザー」のフィジカルプロダクションを担当していた講師から、現実に実施されたスケジュール・予算を見せてもらいながら、解説を受ける。そんな授業もあります。
プロデュース学科で学ぶ内容を3つに大別しましたが、当然、フィルムスクールによってどこに重きを置くかは、変わってきます。