■マーケタ-の腕の見せ所?
<イノベーション普及論で考えてみる>
200円を払って実際に商品を購入しているのはどんな人々か、E.M.ロジャースのイノベーション普及論で考えてみよう。米国の社会学者であるロジャースは、イノベーションがどのように社会や組織に普及するのか実証的研究を行い、採用時期によって採用者を5つのカテゴリに分類している。
冒険的でリスクを好み、1番最初に採用するのがイノベータ(Innovators=革新的採用者)である。しかし、新しいものにすぐ飛びつくイノベータが採用しただけでは普及は継続しない。ロジャースは、市場にイノベータは2.5%しか存在しないとしている。
その価値を正しく理解し採用する層を「アーリーアダプタ(Early Adopters=初期採用者)」という。市場に13.5%存在し、自ら情報収集をし、人への伝達力も強いことから、この層が採用すると、市場全体への浸透が加速するといわれている。
続いて採用する層は「アーリーマジョリティ(Early Majority=前期採用者)」である。比較的慎重な行動を取るが、平均より早くに新しいものを取り入れる傾向がある。市場全体に34%存在するといわれているここまで取り込めれば、市場の半数を抑えたことになる。
革新的な技術や製品の普及には、「イノベータ」に続く、「アーリーアダプタ」の取り込みが欠かせないと、ロジャースは言う。
グラソービタミンウォーターの次なる課題もまさにそこにあるのだろう。
<スキミングプライシング:値段を下げて順次ターゲットを拡大する?>
新商品の展開において明らかな差別化要因をもってイノベータ層を取り込み、プレミアム価格をもって展開する価格設定を「スキミングプライシング(Skimming Pricing=上澄み吸収価格設定)」という。読んで字のごとく、市場の上澄みのオイシイところを吸収し、さっさと投資回収をするのがキモである。
対極にあるのが「ペネトレーションプライシング(Penetration Pricing=市場浸透価格設定)」である。収支ギリギリの低価格で一気に市場に浸透させシェアを確保することを目的とする手法だ。その場合、最初から収支ギリギリなので価格は下げられない。幅広いターゲットに一気に浸透させてシェアを取ることがキモなのだ。
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