今回の場合、サンプリングやイベントに投下した費用は莫大であり、なかなか回収できるものではない。だとすると、もっとターゲット層を拡大する必要があるだろう。スキミングでスタートを切った場合は、ターゲットを見極め、普及状況を考慮して、段階的に値下げをして裾野を広げていく余地がある。
<グラソービタミンウォーターの今後の展開>
まとめると、今はイノベータ層が200円のプレミアム価格で「気分」よく購入している状況。今後は販売チャネルや販売地域を拡大しつつターゲットの裾野を広げていくに違いない。すると、前述のような順次値下げも考えられる。テレビや新聞、雑誌などマス広告を大量に投入してくる可能性もある。
きっとマーケタ-は、胃薬片手に、市場をつぶさに観察し、ティッピング・ポイントを迎えるべく、次なる仕掛けを用意しているに違いない。そんなことを考えながら、楽しい気分に乗って200円払って飲んでみるといいだろう。
セレブでオシャレで、楽しい気分にさせてくれるグラソービタミンウォーター。一つの商品が市場に投入されたとき、どのように社会に“感染”していくのか、感染をマーケタ-がどのように仕掛けるのか、ウォッチしているのもまた、楽しみ方の一つではないか。
さて、ここまで一気に書き上げて少々疲れてしまった。そんな時には「energy kick トロピカルシトラス ビタミンB6+ガラナ+カフェイン」だ。さて、お味は……う~ん、水で薄めたうす~いオレンジジュースの味がする……。
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
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