(第9回)ストレスを和らげるコミュニケーションのコツ

(第9回)ストレスを和らげるコミュニケーションのコツ

亀田高志

 前回は生き物としての人間の特徴を理解し、他人の感情に注意を払うことで、周囲の助けを借りながらストレスを和らげる工夫を紹介した。その中で多少触れたが、今回はコミュニケーションについて説明したい。
コミュニケーションという言葉は我々の生活に浸透している。しかし、その意味と効果をきちんと理解し、コミュニケーションしていくのは容易ではない。生活習慣と同じように流されるままではいけない。油断していると自分の感情を発散させるだけで、人間関係を悪化させる可能性がある。
 ビジネスパーソンにとって、職場でのコミュニケーションの良し悪しはストレスを感じるか、モチベーションが高まるかという境目だ。よいコミュニケーションをとっていくために、今回は3つの要点を紹介しよう。

●傾聴すること

 職場のメンタルヘルスの中で上司による部下への配慮や対応は「ラインによるケア」と呼ばれる。この「ラインによるケア」として、“積極的傾聴”という手法が盛んに紹介されている。相手の言うことに対して、批判を加えず、理解や共感を示しながら、聴くことを指す。要は上司として部下の話に耳を傾けようということなのだが、これが案外難しい。
 上司部下関係に限らず、きちんと聞くのは、言いたいことを話すより難しい。話を聞くフリをしながら、自分の価値観や考え方で相手の話を篩(ふる)いにかけて、相手の話が終わった途端に意見を述べようと準備している場合が多いのではなかろうか。
 反対に相手の話が終わるまでジッと聴き入ってくれる人もいるだろう。言いたいことを言いやすく、それでいて話すほうがきちんと話せるように意識してくれる人。その後に意見をもらっても、自分が話したことを理解してくれていると感じられるような人だ。

 人間にとってコミュニケーションの最も原始的で普遍的な目的は、他者とのつながりを確認し、それを強くすることに他ならない。論理的に議論しているつもりでも、お互いの感情の接点を見つけようという側面は無視できない。自分の利害を優先してコミュニケーションをとろうとしても大抵は上手くいかない。言葉や論理が整っていても、相手の感情には響かないからだ。
 職場でのコミュニケーションで相手とのよい関係を持ちたいと思えば、相手の言葉を無条件に受け入れること、つまり、傾聴を試みることを勧めたい。評価しようとするフィルターをどけて、相手の言うことを生のまま聴いてみる。そうすると今まで気づかなかった相手の感情の動きや立場まで、もっと理解できるようになるかもしれない。共感や理解を示すこともできる。コミュニケーションが上手くいかないと思う状態から一歩抜け出すことができるかもしれない。

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