(第9回)ストレスを和らげるコミュニケーションのコツ

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●3つの要因を意識する

 ここでストレスと関連のある3つの要因を説明する。現代は管理職でさえストレスを感じ、モチベーションを維持するのに苦心している。このストレスと関連のある3つの要因とは「裁量」と「支援」、そして「報酬」だ。

 「裁量」が大きいかどうかは、仕事をする上でストレスの感じ方と関係が深いことが知られている。仕事の大変さが加われば、人間は自由度がないためにストレスを感じやすい。仕事のやり方を細々と決められてしまうとやる気が出ない。目標を示された後は “やり方はご自由に”と命じられれば、工夫もできる。モチベーションも維持しやすい。要求レベルが高くとも、ストレスは感じにくいものだ。
 上司や同僚が大変なときには助けてくれると信じることができればストレスは感じにくい。上司は気遣ってくれていると思えるか。同僚とは信頼関係があると感じるか。「支援」の有無という切り口でこれらを考えて、もしも否定的ならば、ストレスが強く、モチベーションは低くなっている可能性がある。

 「報酬」が多いか少ないかという点もストレスの感じ方やモチベーションに影響する。「報酬」は給与や賞与だけでない。会社の知名度や役職も「報酬」になるし、純粋な仕事へのやりがいや仕事で自分が力を発揮していると感じられることも「報酬」になりうる。
 これらの3つの要因は仕事で要求されるレベルとの関係でストレスを生じる。アンバランスがあれば、分かりやすくいえば“もう、やっていられない”となる。例えば“仕事が厳しい割りにはもらってないなぁ”という状況はストレスフルであるし、モチベーションを下げてしまう。

 このようなアンバランスを解消するにはコミュニケーションをとるしかない。年長になり、階層が上がると、昔のことを忘れて、若手や部下のことが見えなくなるものだ(年齢を重ねると理解しやすい感覚かもしれないが)。上司は万能ではないし、多くの管理職は今やプレイングマネージャーになっている。
 だから上司には率直に、仕事での裁量がほしい、支援してほしいときちんと伝えてみよう。もちろん、報酬を上げてくれとはいえないかもしれない。ならば仕事のやりがいを話し合うのもよい。これらを口にするなら自分もよい意味で責任を負うことになる。

 ストレスで参ってしまったり、不満が爆発したり、モチベーションを失ってしまう前に、上司ときちんとコミュニケーションをとるのがよい。上司と部下の仕事上の利害は大抵、一致している。忙しくても上司は部下のことを分かろうとするものだ。3つの要因やアンバランスをきちんと分かってもらえるように伝えるのが大切だ。

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