(第9回)ストレスを和らげるコミュニケーションのコツ

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●コミュニケーションの手段

 コミュニケーション手段はバブル崩壊以降にポケットベル、携帯電話、eメール、SNSと変化してきた。これらは人間の歴史としては極めて新しい。そのためコミュニケーション上の誤解や問題を生じやすい。
 コミュニケーションはそもそも論理的な思考を交換するというより、感情のつながりを維持するためのものだ。だから、表情や目線、仕種、声色等の言葉以外の様々な情報をお互いにやり取りしながらコミュニケーションするよう人間は発達してきた。実際、言語を操る脳の部分と感情を司る部分は違う。eメール等の手段は言語中心である。言語でコミュニケーションの全てをカバーしようとしても難しい。
 「隣の席にいる人にも用事はeメールで伝える」というのは現代的な職場でもジョークだ。決してよいわけはない。隣の人であってもきちんと声をかけるのがよい。eメールで用事は済むかもしれないが、感情には響かない。むしろ感情を害する恐れもある。

 コミュニケーションの効果で順番をつけるなら、第一に顔を見て話すこと。もしも、会って話せないなら、テレビ電話でもよい。映像付きが難しいなら、電話や電話会議形式で話すことができる。それらの手段がどうしても取れないときに、SNSやeメールでのやり取りをするという順序になる。
 eメールやSNSで文字をたくさん書いても、伝えているのは人間の持っているコミュニケーションで交換される情報の一部にしかならない。また、eメールやSNSには使用するのに世代間の違いがある。10代から50代、60代と生活への浸透の具合や使用している印象も異なる。
 基本はきちんと対面して話すこと。そこから伝わる情報量が圧倒的に大きいことを認識し、コミュニケーションの真の意味を意識しよう。ビジネスの現場で適切に対応できれば、ストレスの感じ方やモチベーションは変えられるものだ。

 適切に主張することを“アサーション”ないし“アサーティブネス”と呼ぶ。相手の言うことを聞きつつ、感情的にならずに自分の考えをきちんと主張するという、どちらかと言えば従来の日本の習慣とは異なる工夫である。しかし、人間にとってコミュニケーションの本来の意味を考えると自然な方法と捉えられる。
 ストレスを感じる場面ではその相手がいるはずだ。相手とのコミュニケーションを良好にすることは、ビジネスパーソンにとってストレス対処だけでなく、モチベーションを維持するのに大切なことだ。

 次回は強いストレスを受けたときの対処を紹介し、最終回として全10回のまとめをしたい。
2009年3月26日発売
人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門
図でわかる、適切な対応ができる
亀田高志 著

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亀田高志(かめだ・たかし)
(株)産業医大ソリューションズ 代表取締役社長/医師(HP: http://www.uoeh-s.com/
1991年3月産業医科大学医学部医学科卒業。日本鋼管病院勤務、NKK(現JFEスチール)産業医、日本アイ・ビー・エム(株)産業医、IBM Asia Pacificの産業保健プログラムマネージャーを経て2005年7月より産業医科大学産業医実務研修センター講師。2006年10月に産業医科大学による(株)産業医大ソリューションズ設立に伴い現職。企業のメンタルヘルス対策に関するコンサルティング、様々なメンタルヘルス研修会の講師に加えて、産業医科大学における企業向けメンタルヘルス対策支援事業を担当。
著書は『人事担当者、管理職のためのメンタルヘルス入門』(東洋経済新報社)。その他、日経ビジネスオンライン『事例で学ぶメンタルヘルスのツボ』、Work(リクルートワークス社)『健康経営のココロ』を共同執筆。
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