日本人が職場に「不平不満」を抱える根本原因 職場への要求が世界標準とズレている

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邦銀から外資系証券会社に転職した筆者の友人は、社内でのコミュニケーション量が格段に多いことに驚かされたという。上司と、部下と、対面で、電話で、メールで頻繁にコミュニケーションをとることが求められる。長電話も無駄話もそれほど好きではない筆者は、個人的に、コミュニケーションは量より質、と感じている派なので、時間をかければいいとは全く思わないが、やはり親子や夫婦、友人間と同様に、こまめに会話を交わすことは良好な関係作りには不可欠だ。

一方で、日本には慢性的な「コミュニケーション欠乏症」を患っているかのような職場も多い。そもそも、コミュ下手、口下手な日本人である。管理職研修でああしろ、こうしろと言われても、なかなか行動には移せない。特に、コミュニケーションの要となるべき部長や課長などの中間管理職が忙しすぎることも、職場のボトルネックとなっている。日本には専業の管理職は少なく、多くは自ら自分の仕事をしながらの「プレイングマネジャー」も多い。

自らの仕事、部下一人ひとりの仕事の管理、チームとしてのマネジメント、とまるで、監督とコーチと選手の一人三役をこなさなければいけない状況で、マメなコミュニケーションにまで到底、手が回らないのが実情だ。そもそもはそうした層が、きちんとコミュニケーションをとる時間が持てるような「中間管理職の再編」が必要ではないか、と豊田氏は提言する。

上司はどのように声がけするべきか

では、何かと忙しい日本のサラリーマンにとって、効率的にエンゲージメントを上げるコミュニケーション術とはどんなものだろうか。黄金の3原則として、以下の3種類の声がけをおススメしたい。

認める: 社員の存在、仕事の成果をまずは認める。そもそも、声をかけられることも少なく、その存在すら認識されていないような「幽霊社員」が生息する日本の職場。部下が何か変化を起こしたり、成果を上げた場合にはそこに気づき、即座に存在や価値を認めよう。例)この仕事やってくれたんだね。〇〇大変だったね。目標達成したね(しそうだね)。
称える:そもそも、日本人はアメリカ人などに比べて「褒め言葉」に異常にケチな人が多く、めったなことでは褒め言葉が出てこない。成果をきちんと評価し、感謝・称賛することが、「甘やかす」ことになるのではないか、と危惧されているきらいもある。ペットの犬同様、「できたらほめる」。この基本動作は重要だ。例)よくやったね。すごいじゃない。ありがとう。〇〇が良かったよ。
問いかける:褒めるのも大事だが、叱ることも大切だ。しかし、最近は、〇〇ハラ問題などもあり、どういう言葉を使うべきなのかと逡巡するうちに、なかなか部下と対峙し、きっちり叱ることができない上司も増えている。「愛情ある叱り力」は必要だが、一方的に叱る前に、相手の話に耳を傾け、問いかけをしていく中で、自分なりに問題の答えを見つけ出してもらうというやり方も有効だ。例)どうしたの。何が難しかったの。どうすればいいと思う?

 

いかがだろうか。②の「ほめる」作戦は、日本においては賛否両論あるようだ。子供にしてもほめすぎてはダメになる、といった考え方もある。しかし、筆者の肌感覚では、日本人の褒め力はそもそも、著しく低い。ちょっとぐらい増やしたところで、害には絶対にならないと断言したいが、この「ほめる」か「つめる」かの議論はまたの機会にじっくり考えてみたい。

岡本 純子 コミュニケーション戦略研究家・コミュ力伝道師

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おかもと じゅんこ / Junko Okamoto

「伝説の家庭教師」と呼ばれるエグゼクティブ・スピーチコーチ&コミュニケーション・ストラテジスト。株式会社グローコム代表取締役社長。早稲田大学政経学部卒業。英ケンブリッジ大学国際関係学修士。米MIT比較メディア学元客員研究員。日本を代表する大企業や外資系のリーダー、官僚・政治家など、「トップエリートを対象としたプレゼン・スピーチ等のプライベートコーチング」に携わる。その「劇的な話し方の改善ぶり」と実績から「伝説の家庭教師」と呼ばれる。2022年、次世代リーダーのコミュ力養成を目的とした「世界最高の話し方の学校」を開校。その飛躍的な効果が話題を呼び、早くも「行列のできる学校」となっている。

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