(第24回)<前園真聖さん・後編>子どもとサッカーをするのが幸せ

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(第24回)<前園真聖さん・後編>子どもとサッカーをするのが幸せ

●今の小学生と接して思うこと

 先日、サッカー協会の「JFAこころのプロジェクト」の一環で、東京の小学校に行ってきました。感想は、僕がイメージしていた印象とは違っていたということです。たまたま僕が行った学校がそうだったのかもしれないけれど、みんな生き生きしていて、小学生らしいというか。最初に体育館で運動をして、その後教室で夢について話をしたのですが……。
 僕のサッカー教室でもそうですけど、今の子は、すごく消極的だったり自分を出さなかったりする。人間味がなかったり、コミュニケーションをとるのが下手だったり……。僕らの頃は、親とも先生とも、近所のおじさんやおばさんたちとも話をするのが普通だった。けれど、今の子は相手がゲームや、コンピュータで、人と会話をするのが苦手、話をしていても伝わりにくい部分があると感じていました。

しかし、その学校の子どもたちはとてもしっかりしていて、何か質問をすると率先して手を挙げるし、自分の夢を尋ねると、みんなしっかり夢を持っていて、こたえてくれました。夢は、「サッカー選手」というのは一人もいなかったんですけどね(笑)。野球選手はいました。スポーツは野球とバスケが多かったです。あとは、宇宙飛行士とか、パティシエとか……なんだか、ものすごく頼もしかった。
 サッカー教室の少年達とは毎週会っていますが、ずっと目を合わせているのに挨拶もできない子もいました。もちろん、子ども一人ひとり性質が違うので、子どもによって接し方や伝え方が変わってきますからはじめは大変でした。しかし今はもう、みんな見違えるようになっています。

●家族や先生、仲間がいたからがんばれた

 僕が小学生の頃は、今僕がやっているようなサッカースクールはありませんでした。学校でやっているクラブだけです。しかし、今はクラブチームもあれば、スクールもある。僕のスクールに通ってくる子ども達の中には、サッカークラブを3つくらい掛け持ちしている子もいます。クラブチームでは、土日は試合で、平日は僕のスクールに通い練習する。びっくりしますよね。
 僕が高校生の頃は、監督に対して反抗はしない、というより、「できない」でした。逃げ出したことはないですけど、抜け出して、遊びに行ったことはあります(笑)。なんとなく監督は知っていたみたいで、ばれていましたけどね。遠征中に本当に逃げ出したやつはいます。同級生でした。それくらいきつかった。

 僕も「やめたい」「きつい」と思ったことはたくさんありました。プロになってからだってそうです。そういうことを夢の授業でも話しましたが、「プロになってすごいなあ」とか、「才能があってサッカーをやっていたんだな」っていう印象しか子ども達にはないと思うのです。しかし、失敗もたくさんしてるし、挫折もして、サッカーをやりたくないということも何度もあった。けど、そこで諦めなかったし、先生や友達が支えてくれたからなんとかやってこれた。一人じゃ無理だっただろうという話をしたのです。

  サッカーを辞めたいと思ったのは、「試合に負けた」とかそういうことではなく、たとえば、高校の頃など、本当に毎日、毎日、練習、練習でつらかったとき。もちろん好きでやっているんだけど、なんとなく自分からやりたくてやってるのではなく、やらされているんじゃないかという気持ちになり、そのうちサッカーが楽しくなくなってしまう。そういう葛藤がずっとありました。プロになったらなったで、もちろん好きでやっていてお金ももらってるんだけど、うまくいかないことももっと多くなってくる。いろんな評価もされるし、なかなか楽しんでサッカーをできなくなってきたとき……というのが一番つらかった。そういうとき、仲間や家族、先生方の支えがあったから続けられたのだと思います。
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