なぜ若者たちはこぞって「花畑」に行くのか? 変化する「リア充」アピール

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また、注目したい事柄として、冬~春の季節に、上述のような若者にとっての魅力的なロケ地が存在しないことが挙げられる。晩春にはネモフィラ、初夏にはあじさい、夏にはひまわり、秋にはコスモス畑の写真が流行していたが、冬~春にはこれといって代表的なものはない。

冬にはイルミネーション、春には桜も人気がありそうなものだが、これらをプロフィール写真のロケ地として選んでいる若者はほとんど見かけない。

前者は、顔が暗く映るためプロフィール画像には不向きだと考えられる(花火大会の写真をプロフィールにする若者が少ないのも、「暗い」という要素が足を引っ張っているのかもしれない)。後者については、SNSのプロフィール画像の形が「正方形」であることが関連しているかもしれない。

限られた小さな四角の中で、季節感を出し、かつプロフィールとして顔がわかるようにするためには、「自分の背丈以下のものに囲まれている」ことも大事な条件のひとつだと言えるだろう。桜のような背丈を超える大きな木は、一緒に写真を撮るうえで難易度が高いと考えられる。

季節感を大切にする若者は、冬~春にかけての空白のシーズン、何か新しいものを欲している。上述のような、若者のプロフィール写真ロケ地に対するニーズにあった空間を提供できれば、きっと若者たちの心を掴めるはずだ。

原田の総評:その他の「自然写真」もきっと増える

さて、ひたすら自然を求め、花畑に行くようになっている今時の若者たちの実態はいかがでしたでしょうか?

いま多くの若者が“リア充写真”をSNS上に掲載するようになり、それとの差別化として、これまでとは真逆の「自然」というものが選択されるようになっているのでしょう。

その中でも花はカラフルですし、最も写真映えするものとして選択されているのかもしれません。

就活へのストレス、女子力男子の増加による理由、という理由はユニークですが、納得できる方も多いのではないでしょうか。今後、花にかぎらず、ほかの「自然」も若者たちのSNS上の写真に選ばれていくことになるかもしれません。

原田 曜平 マーケティングアナリスト

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はらだ ようへい / Yohei Harada

1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年よりマーケティングアナリストとして活動。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『平成トレンド史』『それ、なんで流行ってるの?』『新・オタク経済』『寡欲都市tokyo』などがある。YouTubeはこちら

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