株式会社インスパイア代表取締役・高槻亮輔(Part2)--ディティールが描けて、具体的な将来像が映像的に見えている経営者は伸びる

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--「事業ありきの金融」という意識が強いようですが、いま一度、御社のビジネスモデルについて教えてください。

当社が行っているのは、あくまで「価値の創造」。お金儲けの方法として、大企業向けにコンサルティングと事業開発を、ベンチャー企業向けにファンドの投資と自己資金投資をしています。

事業が始まってから収益をシェアさせていただくのが基本ですが、大企業であれば、まだ価値が生まれていなくても知恵代としてコンサルティングフィーをいただくこともあります。ベンチャーの場合は、株式投資を絡めて将来的な価値を一緒に作ったあと、キャピタルゲインをいただくビジネスモデルになっています。

--どういう企業に投資するのですか。

基本的には、再生ではなく活性化。現状追い詰められてはいないけど、価値が正しく市場に認知・評価されていない企業を選びます。その会社だけでは変革できない場合が多いので、事業上どこと組むかというのを具体的にこちらが提案できるかどうかも投資の基準となります。ITの適切な使い方に口を出すPIPE型ファンドや、モノづくりベンチャーが大量生産・大量販売するフェーズで投資をして、大手製造企業の大量生産ノウハウの移転や商社による全世界向け販路の立ち上げなどを急速に実行するスタイルのベンチャーファンドをやってきました。

--市場が正しく価値を判断していない割安企業をどう見抜くのでしょうか。上場企業は3800社ほどあります。たとえば野村証券などがウォッチしている600社を除く3200社は“暗黒大陸”だと思います。あまり手つかずの企業のスクリーニング基準などはありますか。

システマチックにスクリーニングして選考しているわけではありません。成毛を含む何名かのメンバーが「面白そうだね」と提案するところから始まります。入り口は日々のニュースや雑誌記事、『会社四季報』だったりしますが、バリュー投資は徹底的に見極めなければいけません。現地に行く、経営者に会いに行って話を聞く、モノを見る、お客さんの話を聞くといったことが重要です。

--現地に行って具体的に何を見ますか。経営者には何を聞き、どこを重要視しますか。

メーカー系だと稼働状況や新規投資した計画と実行したもの、管理状況などです。完璧なところはそれ以上の収益に自信がなかったりするので、完璧じゃないほうが伸びる余地がありますね。

経営者については、今までの成果ではなく今後の事業についてどう思っているかを聞き、自信を持ってやっているかどうかを見ます。ディティールが描けていて、具体的な将来像が映像的に見えている人や信じ込んでいる人は、実際きれいに伸びますよ。

(写真:尾形文繁)

たかつき・りょうすけ
 1995年、慶應義塾大学経済学部を卒業、日本興業銀行入行。コーポレートファイナンスや審査部を経て、2001年インターネット総合研究所に入社。企業買収・事業投資を実践した手腕を買われて、同年インスパイアに入社。創業者の成毛眞氏に「若さを生かした柔軟性と機動力を併せ持ち、混沌とした経済環境の中に、一石を投じながら勝ち抜いていく最適な布陣」「永きにわたり私を支えてきた優秀な番頭」と言わしめ、08年に代表取締役社長に就任。

■CEOへの道は、エグゼクティブ向けの人材会社・リクルートエグゼクティブエージェント主催のセミナー「Road to CEO」との連動企画です。

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