上司のどこが許せないのか。具体的に聞いてみると、あなたと同じように、「責任を取らない」「保身に走って上にゴマをする」「判断や態度がころころ変わる」などなど「ある、ある!」とうなずいてしまうエピソードがわんさか出てきます。
「人に厳しく自分に甘い」「周囲のことより自分のことばかり考えている」「女性蔑視のスタンスが見え隠れする」など、具体的な言動から透けて見える上司の価値観を感じ取り、憤る女性もとても多い。「そういう人、いるよねぇ!」と盛り上がってしまうくらい、「嫌なポイント」は共通しています。
女性は「分けて」考えるのが苦手な傾向がある
でも、その気に入らない点と、仕事の出来不出来とは関係があるでしょうか。私は多くの女性と接してきて、女性の方が、上司の「人格」と「仕事の能力」を分けて考えるのが得意ではないように感じています。どうしても、人格的な面、仕事の能力的な面とをひっくるめて、優れた「理想の上司像」を描き求めてしまう。でも現実に存在する上司は、理想の上司とは異なっている事が多いでしょう。上記の不満を見ると、実は、上司の「人格」に根差したものが多いのです。
人格に対して幻滅が重なっていくと「人として許せない」「生理的にいやだ」というところまでいってしまい、仕事まで気に入らなくなり、上司の「全否定」へと繋がっていきます。
男性だって上司の愚痴や不満を言います。でもよく聞いていると、「あの判断はひどかった」「人を育てるのが下手すぎる」とか、「仕事はデキるけれど人の気持ちがわからない人」とか、「人としていやだ」とまでは言わないことが多いように思います。つまり、男性の方がどこかで、上司の力を「分けて」眺め、ここは尊敬できてここは嫌だ、と考えることができるのではないか、と思うのです。
私自身がいちばん苦手だった上司は、部下との約束やスケジュールを守らない人で、いわゆる「オレ様」タイプでした。彼自身は多くの仕事上の成果をあげていて、だからこそ、どんどん偉くなったはずなのに、私はもうそこを見ることができなくなっていました。そして成果を上げれば、「部下の成果を自分のことのように話しているのでは?」と勘繰り、偉い人とのアポに急いでいるのを見れば、「部下との約束はスルーするくせに。ヒラメ野郎だわ!」と蔑みにも似た気分になっていました。
この時こそ、先輩が言ってくれた「分けて考える」訓練が活きるはずだったのに、人格的に相いれないところがあるというだけで、私は、彼の仕事の能力から学ぶことをしなかった。今となってはとても反省し、自分の子どもっぽさにうんざりした気分にさえなってしまう苦い思い出です。
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