シャープ買収、臨時取締役会の「票読み」は? 鴻海か革新機構か、迫られる取締役13人

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しかし、みずほ銀行の姿勢は、それとは異なる。鴻海とは台湾で10年以上付き合いがあり、今後の関係構築を狙って恩を売れる、絶好のチャンス。鴻海案は銀行団に債権放棄を求めないうえ、仮に鴻海が提案どおりに、両行の持つ優先株の買い取りに応じれば、特別利益計上の可能性もある。経済合理性をより重視するみずほにとって、機構案を選ぶメリットは、いよいよ見当たらない。

数少ない機構案支持は、機構を所管する経済産業省出身の、半田力取締役。出資額で見劣りするが、銀行に要請する追加支援などを含めれば、実質的な支援効果は劣らない、との論陣を張る。もっとも、これもシャープというより、機構傘下の液晶大手ジャパンディスプレイの保護目的、という色合いが強い。

利益相反で取締役会には不参加も

一方、微妙な立ち位置にいるのが、シャープの社外取締役を兼ね、メガバンク出資のファンド、ジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)の現経営陣でもある、齋藤進一社長と住田昌弘会長だ。いずれも鴻海案に軍配を上げている。

ただ、2人は共に、会社法上の特別利害関係人に当たる可能性がある。JISの持つシャープの優先株について、機構は普通株への転換を、鴻海は簿価での買い取りを提案。JISの利益を考えれば鴻海支持となるが、それがシャープの株主の利益になるかどうか。2人が議決に加わるかは明らかにされていない。

落としどころが見えないまま、交渉期限の2月末が近づく。自らの利害から離れ、純粋に再建のための最善策を選ぶことができるか。シャープ経営陣による“最後の仕事”の責務は重大だ。

「週刊東洋経済」2016年2月27日号<22日発売>「核心リポート06」を転載)

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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