鴻海トップが孫正義氏を訪ねた「本当の理由」 目的はシャープでない?約24時間の瞬間来日
経営再建中のシャープに巨額の買収提案をしている、台湾・鴻海(ホンハイ)精密工業のテリー・ゴウ(郭台銘)董事長。2月18日夕方に来日したが、19日夜には早くも成田国際空港から帰国の途についた。
来日したゴウ氏が直行したのが、港区・汐留のソフトバンク本社だ。早ければ来週にも、シャープが鴻海か産業革新機構の買収案を選ぶというタイミングの中、ゴウ氏がソフトバンクの孫正義社長と長時間にわたり会談したことから、「シャープ買収への支援を孫氏に求めた」と伝える報道も、少なくない。
が、実のところ、2人が共有する最大の関心事は、シャープではない。
2人が見ているのは「インド」
そもそも、ゴウ氏はおよそ1~2カ月に1度来日しているが、少なくともここ1年は、ほぼ来日のたびに孫氏と面会している。会話の中で、シャープに触れることももちろんあるだろうが、シャープの件があるから会っていると理解するのは、本末転倒。2人がこれほどの頻度で意見を交わしている最大のアジェンダは、今後10年にわたる「インド戦略」だ。
ソフトバンクは2014年10月、インドのインターネット通販大手スナップディールに約677億円を出資した。一方の鴻海は、ソフトバンクが筆頭株主である同社に、2015年8月、約250億円を出資している(出資比率4.27%)。また両社は2015年6月、現地企業を含む3社合弁で、太陽光発電など再生可能エネルギー事業を進める計画を発表。今後10年間で2.5兆円弱を投じ、インド国内に複数のメガソーラー(大規模太陽光発電所)を建設する方針なのだ。
このメガソーラーを作るうえで、シャープの太陽光事業の持つ発電システムの設計・エンジニアリング力は、大いに役に立つ。この部分のみ、買収後に鴻海がソフトバンクに売却したり、両社で合弁化したりする余地は、多いにある。しかし、シャープ本体にソフトバンクが少額出資するという観測は、おそらく観測止まりに終わるだろう。
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