鴻海トップが孫正義氏を訪ねた「本当の理由」 目的はシャープでない?約24時間の瞬間来日

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ゴウ氏は鴻海単独でも、今後5年以内でインドに自社工場10カ所を建設し、100万人を雇用する方針だ。鴻海の生産能力はインド1国で少なくとも倍増する見通し。ゴウ氏は2015年8月上旬、インドでモディ首相と会談した直後の会見で、「インド計画は10年の計だ。単なる組み立て工程だけでなく、部品生産から技術開発まで、サプライチェーン全体を移転させる」と表明している。

ここまでインドにゴウ氏が前のめりになるのは、モディ政権の政策のゆえである。鴻海が中国で巨大工場を数多く建設できたのは、中央・地方政府による外資工場の誘致政策が背景だった。

ゴウ氏にとって、政府の提供する土地や補助金は大きなうま味だったし、同時に政府にとっても、1工場で数万人を雇用する鴻海の工場は、周辺の都市開発と不動産相場を一変させる錬金術だった。中国の労務費が高騰する一方、2022年には世界最大の人口を抱える見通しのインドで、モディ政権が製造業やIT産業、クリーンエネルギー産業の振興策を打ち出したことに、ゴウ氏は注目したのだ。

ソフトバンクは1兆円超の投資額

ゴウ氏は技術や産業の展望を見通し、フロンティアを開拓するビジョナリー型の経営者ではない。「相手に野望を実現させることで、自身も利益を得る」という、ウィンウィン型だ。かつてのスティーブ・ジョブズ氏(米アップルのiPhoneは鴻海が製造)や、久夛良木健氏(ソニーのプレイステーションも鴻海が製造)のように、強い野望を持ったパートナーがあって、初めて、鴻海は成長する。この意味で、孫氏とモディ首相という2人の野心家がいる限り、インドはゴウ氏にとっての次なる成長市場なのである。

孫氏は1月16日、ニューデリーで開かれたベンチャー投資関連のイベントで、「インドでの投資を100億ドル(約1.1兆円)に拡大する」との考え方を明らかにした。2月18日夜のゴウ氏との会談では、1.2兆円の使途が共有されたのではないだろうか。

杉本 りうこ フリージャーナリスト

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すぎもと りうこ / Ryuko Sugimoto

兵庫県神戸市出身。北海道新聞社記者を経て中国に留学。その後、東洋経済新報社、ダイヤモンド社、NewsPicksを経て2023年12月に独立。

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