【前田新造氏・講演】“人”が創る企業力−組織を活かすリーダーシップ−(後編)

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

東洋経済新報社主催フォーラム
「逆境こそチャンス~未来を創るリーダーの要件~」より
講師:株式会社資生堂 代表取締役社長 前田新造

中編からの続き)

●人材再生こそ最も重要なテーマ

 さて10年先のビジョンの実現に向けて課題となることは、日本で137年間育ててきた経営の品質を世界で通用するようしっかりと磨きをかけることです。この実現のためには会社組織や経営数字以前に人の意識や行動のグローバル化が必要であると考えています。海外の現地事業所で活動する社員の人材育成はもとより、社内でのコミュニケーションや意思決定のあり方、実行スピード、ガバナンスに至る内なるグローバル化を含めてその対応を強化していきたいと考えています。その要諦は多様性への対応です。この多様性への対応こそグローバル経営を実践していく上での日本人、日本企業の課題だと考えています。日本では、あるいは日本人は企業においても社会においても異文化を受け入れるのが苦手で、ともすると日本を軸に考えてしまいます。多様な価値観を自然に受け入れられる体制を作る観点で、昨年7月から当社の取締役は2006年より導入した社外取締役2名に加え、旧労働省出身の女性の副社長、そしてドイツ人の常務と資生堂育ちでない人が8名中4名、そして監査役まで含めたボードメンバーでは過半数以上が資生堂育ちではない人間となり、近頃はますます幅広い議論が飛び交うようになっております。
 今申し上げている多様性は一人の人間においても同様で、仕事はもちろん、職場外でのボランティア、語学の勉強、家庭生活などにおいても多様性が発揮できるよう努力することが重要だと考えます。それが必ず仕事の幅にもつながってきます。多様性、ダイバーシティ化への挑戦、このテーマに向けては組織を構成する個人が発想や行動を自らあらためる風土で満たされなければなりません。それには一人ひとりの社員の成長を会社が積極的にサポートすること、つまり人材の育成が鍵を握ると考えます。私は事業再生イコール人材再生ととらえております。

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事