【前田新造氏・講演】“人”が創る企業力−組織を活かすリーダーシップ−(後編)

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 ここでは、スキル・マインドの向上を図るための当社の研修に焦点を当ててお話を進めていきたいと思います。2007年4月から、共育宣言を受けてバーチャルな企業内大学であるエコール資生堂を始動させました。企業内大学の狙いを一言で申し上げると、資生堂グループの全従業員を各分野のプロフェッショナルに育成していくことです。そのため分野ごとのキャリア・ディベロップメント・プログラムを策定して、その実現のためのさまざまな研修を設けました。今までは人材育成は人事部に任せるというような気持ちも起きがちでしたが、この制度によって執行役員全員が責任を持って所属の人材を育成できるようになると期待をしております。
 研修内容ですが、職位ごとに必要となる基本的スキルに加えて、各分野にふさわしい段階的な教育によりプロフェッショナルを目指します。そしてエコール資生堂では経営大学院も設けており、大学院長は執行役員の経営企画部長が当たっております。この経営大学院には2つのコースが用意されております。いずれも将来の経営幹部を養成する選抜制のプログラムです。1つのコースは近い将来本社の部門長、あるいは関係会社の子会社の社長の育成を目指す40代全般の社員を対象とするネクスト・リーダー研修というものです。その中では、大事にしたい当社での価値観や思いを私自身が直接伝えております。2つ目のコースはその上位に当たる研修で、執行役員候補者を対象に役員を務めるに足るビジネス・スキルを養うものです。この中では高度な経営技術はもちろんのこと、執行役員になったという前提で私たち取締役と激しいディベートをして、信念、ビジョン構築力、決断力などを身に付ける役員の疑似体験を行ないます。これらの研修は一年間かけて行なってまいりますが、同時にこの研修では役員たちがアセスメント評価をするのに加えて、外部機関の力を借りて60項目に及ぶアセスメントを行ない、次期役員を選抜する指標の一つにしております。

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