片山幹雄・シャープ社長--日本でのものづくり見直し、地産地消型へ仕組みを大転換

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 すでに昨年後半から業界は生存競争、淘汰の段階に入った。金融危機の影響とスペインの政策見直しが重なり、世界需要の過半を占める欧州市場がひっくり返ったのが引き金になった。近年はアジアを中心に世界中で業界への新規参入企業が相次いだが、長期信頼性の問題と欧州の環境激変で、そうした企業の多くが早くも事業存続の危機に瀕している。この生存競争に勝ち残れるのは、製品の品質、性能、コスト競争力をすべて兼ね備えた企業だけだろう。

--太陽電池事業に対する成長期待が大きいとはいえ、事業の収支自体は前期も赤字でした。

原材料コストや開発投資、年度後半の欧州での価格下落といった複数の要因があるが、一番痛かったはやはり為替の問題。太陽電池は材料をドルで買って、日本で作り、それを主にユーロ市場で売っているので、一連の円高は非常に収益面でのダメージが大きかった。現状の為替水準を考えると、今年度も赤字を黒字に戻す程度だろう。事業の収益化という意味では、エネルとの合弁工場が動き出す2011年以降に大きな期待を抱いている。

--今、日本の輸出型製造業の危機が叫ばれています。

一律的な悲観論はナンセンス。確かにこのまま日本の中に閉じこもっていたら、未来は暗い。座して死を待つだけだ。昨今のような環境激変下では日本の製造業も変わる必要があり、当社も申し上げたようにビジネスモデルを変えていく。今までとは違った形で、液晶や太陽電池のグローバル展開をしてみせる。

(西澤佑介、渡辺清治 =週刊東洋経済 撮影:ヒラオカスタジオ)

かたやま・みきお
1981年東京大学工学部卒業、シャープ入社。太陽電池の研究開発に携わった後、液晶事業畑を長く歩む。2003年取締役モバイル液晶事業本部長。05年に液晶事業を統括、06年にはテレビ用大型液晶とAV製品事業の責任者を兼任。07年4月に電機業界では異例の49歳の若さで社長就任、現在に至る。

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