片山幹雄・シャープ社長--日本でのものづくり見直し、地産地消型へ仕組みを大転換
--太陽電池においても、シャープは海外合弁戦略を掲げています。
為替対策や投資負担軽減といった意図は液晶と同様だ。世界各国が再生可能エネルギーの本格導入を掲げており、これからものすごい量の太陽電池が世界で必要になる。シャープ単独で世界各地に工場を造っていたのでは、おカネがいくらあっても足りない。
さらに、太陽電池ならではの事情もある。エネルギーは国の安全保障そのものである以上、いずれはどの国も自国で使う太陽電池は自国内生産が当たり前になる。また、各国のエネルギー政策に絡むので、情報収集などあらゆる面で海外企業にとっての壁は高い。つまり、太陽電池は液晶以上にインサイダー化が極めて重要であり、太陽電池ビジネスをやっていくうえで各地での合弁戦略は当然ともいえる。
すでに当社は昨年、その第1弾として、イタリアの大手電力会社、エネル社と全面提携した。両社の合弁で欧州に太陽電池の生産工場を建設し、2011年中の稼働を予定している。ビジネスモデルという点でいうと、ソーラー事業も従来のような太陽電池モジュールの生産・販売にとどまらず、合弁工場に対する材料や装置の提供、生産ラインの運営・保守、さらには実際の発電事業に至るまで、ビジネス領域を大きく広げていく。エネル社との提携においても、合弁工場で作った太陽電池パネルを使って、共同事業として欧州全域に複数の太陽光発電所を設置する計画だ。
--その太陽電池も近年は、欧米、アジアなど海外新興企業の勢力拡大が著しい。06年まで生産量で世界首位だったシャープも、昨年はついに4位にまで順位を落としました。
近年はドイツ、スペインなどの普及促進策で欧州市場が急拡大する一方で、日本の需要が縮小し、当社の世界シェアも下がった。もっとも、近年の欧州は急激な需要拡大が進んだため、どんなメーカーの太陽電池でも飛ぶように売れるという異常な状況が続いた。そうした状況下でのシェア低下であり、それ自体は深刻な問題とは思っていない。太陽電池はこれからが本当の勝負だ。