この発言には、“専門バカ”特有の甘さや弱さが露呈しています。名前が重すぎたと言っていますが、もっと大きな名前を背負った長嶋さんや王さんは、その名前を持て余すどころか、さらに輝かせ続けています。この分かれ目はいろいろ考えられますが、人生と野球に対する真摯さが、大きな違いに挙げられます。
薬物が先だったのか、身の処し方の悩みか生活の乱れが先だったのか知る由もありませんが、野球解説など、あれほど愛していたはずの野球の仕事にさえ横着な態度が目立ち、おのずと仕事が激減したそうです。
引き返せるタイミングは何回もあったはずです。そのわずか数年前の引退セレモニーでは、野球にすべてを捧げ、多くのファンに感動を与え続けた精悍な頬には涙が溢れていたのですから。
ところが引き返せませんでした。
引退後の生活を準備しよう
「岸和田の清原から、突然全国区の清原」になり、数々の輝かしい記憶に残る成績を残してきた清原容疑者の、その燃え尽き症候群はよほど深いものだったのでしょう。
しかし、選手である以上、いずれは引退の年がやってくることは宿命。そんなことは分かっているはずです。引退後の人生設計を、現役時代から立てなかったことが、最大の誤算だったのではないでしょうか。先のことを考えないその一途さが、彼の魅力でもあったのですが。
引退後も野球と関わり続ける元選手たちは引退後、コーチ学を大学で学んだり、現場で指導しながら学んだり、解りやすい解説で人気を博したりしています。清原容疑者もメディアが作り上げた自分の虚像に振り回されず、強い意思で真摯に自分の足元を見つめ、彼自身の人生を創っていくべきでした。
このことは、子育て中の親御さんにも、大切な教訓を示してくれています。世に秀才と呼ばれる学生さんの中には、学業の成績か専門分野は強いが、他の分野や常識は、全然ダメという人がいます。これは大きな問題です。
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