NHKは本当に変わったか--実力か、民放各社の衰退か?(上) 

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NHKは本当に変わったか--実力か、民放各社の衰退か?(上) 

4月に行われたテレビ局の番組改編。最も注目を集めたのがNHKとTBSのゴールデンタイム(19~22時)での「報道対決」だった。NHKの看板番組で高視聴率を誇る平日19時の「ニュース7」に挑むべく、TBSが平日17時50分から2時間の報道番組「 総力報道!   THE NEWS」をスタートさせたのだ。

だが結果はNHKの圧勝。ニュース7が10%台後半をたたき出している一方で、「『総力報道!』は内容が物足りない」といった声もあり、1ケタ台で低迷している。始まったばかりの対決だが、現状はNHKが返り討ちにした格好だ。

NHKの視聴率が好調なのは、何もニュースだけにとどまらない。2008年度上半期は、ゴールデンタイムの視聴率単独首位(関東地区)を獲得。年間でも2位につけ、民放各社の視聴率が伸び悩む中、“独り勝ち”の様相を呈している。NHKといえば、04年の番組プロデューサーによる制作費着服を皮切りに、不祥事が相次いで発覚。視聴者からの信頼は失墜し、視聴率も一時低迷していた。それがなぜ回復したのか。

その要因の一つは、民放の自滅だ。

最近、「民放はクイズやお笑いなど同じような番組ばかり。結局、(ニュースなど)民放とは違う番組をやっているNHKにチャンネルを切り替えてしまう」(60歳代の男性)という人が多いようだ。番組が同質化する背景には、民放の視聴率至上主義がある。民放の収入は企業からの広告が大半。収入を増やすためには、広告主がマーケティング戦略で最も重要視する購買意欲の旺盛な20~34歳女性の視聴率が高くなる番組作りをせざるをえない。しかも、「流行や話題性の高さなどを重視するため、各社とも内容が似通ってしまう」(番組制作会社社長)のだ。

さらに、広告主の業績悪化などによる広告出稿の急激な落ち込みが、民放の経営に大打撃を与えている。各社とも利益確保のために番組制作費の削減を進めており、安上がりで視聴率が取れるクイズやお笑い番組が多くなるのが実態だ。

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