岩田聡・任天堂社長--日本人が面白いと思うものは世界で見ても「面白い」!

--任天堂の商品は海外でも支持されています。開発段階から海外展開を意識しているのですか。

人が何を面白いかということに関しては、文化に根差しているものと、人が普遍的に感じているものがあるのではないかと思います。ただ、人が何を面白いかということを測定する方法もなければ、理論も確立されていない。われわれは、あくまで仮説を立てて、それに基づいて行動しているにすぎません。それでも、なるべく多くの人が興味を持ってくれそうなテーマを探していますが、「脳トレ」をつくったときやポケモンのキャラクターを展開したときに、世界中に受け入れられるとわかっていたかというと大いに疑問ですね。

ポケモンを海外展開する際に、現地の関係者が言ったことを今でも忘れません。「こんなかわいいのはモンスターじゃない」と。米国で売りたいならこうしろと、筋肉ムキムキにした企画案の絵が送られてきた。そのときに前社長の山内溥(現相談役)は「成功例がないのなら、なおのことチャレンジする価値がある」と言いました。娯楽はほかと違うから価値があるわけで、違うものがうまく行ったときにはすごく大きくなる。日本のまま変えずに行け、というのが山内の示唆でした。

「脳トレ」も最初から勝算があったわけではないけれども、多くの人が興味を持ったということは、日本人の感性は世界に十分通用することを証明したのではないでしょうか。

--海外展開の際に、バージョンを変えるケースもあるのですか。

ソフトによっては「ローカライズ」と「カルチャライズ」を意識します。ローカライズというのは単純に言葉を変えるだけなのですが、カルチャライズというのは現地の文化に根差した要素を足すということです。例えば「脳トレ」のときは少し工夫をしました。発売時点で川島隆太先生(脳トレの監修者、東北大学教授)の知名度が国内とは違っていたので、興味を持っていただくきっかけをつくりたいということで日本生まれのパズル「数独」を(海外バージョンに)入れました。数独は英国や米国で流行していたのですね。

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