岩田聡・任天堂社長--日本人が面白いと思うものは世界で見ても「面白い」!
生活や学習分野など、従来のゲーム機の範疇を飛び越えた領域をひた走る任天堂は、“遊び”の革命児である。
携帯型ゲーム機「DS」は上下二つの液晶ディスプレーを備え、タッチペンによる書き込みでゲームをプレーする。据え置き型ゲーム機「Wii」はコントローラーを片手で振ったり動かしたりするだけで遊べる。どちらもわかりやすさを追求し、団塊世代のビジネスマンや主婦など、これまでゲームとは縁遠かった層の心をもつかんだ。
自社ソフトにも独自色が染み込む。簡単な数式などに答えていく「脳を鍛える大人のDSトレーニング」(脳トレ)は国内外で大ブレーク。 バランスボードで体を動かす健康管理ソフト
「Wii Fit」は、欧米で店頭から品物がなくなるほどの人気だ。
任天堂はなぜ、ヒットを連発することができるのか--。核心に迫るべく、岩田聡社長を直撃した。
--DSの後継機種「DSi」を4月3日に欧州で、5日に米国で発売しました(国内は昨年11月に発売)。出足はどのような状況ですか。
最初の2日間で、それぞれ30万台ずつ売れました。今はいわゆるシーズン(クリスマス商戦など)ではありませんので従来の機種とは単純比較ができないのですが、最初の2日間は前機種の「DS Lite」以上です。まずまずの出足だと感じています。国内もぼちぼち200万台に達しそうです。持続的に売れるかどうかが今後のカギですね。
--DSi には新しくカメラ機能が付いていますが、この狙いは?
DSを「1家に1台」から「1人に1台」に近づけることが狙いです。昨年の前半に国内販売が2000万台を超え、そのあたりでDSのセールスがスローダウンし「もう限界か」とのムードがありました。それを打ち破っていくためには、新しいお客さんに入っていただくことはもちろんなのですが、DSを家族で所有するのではなくて自分専用にしてもらうことが必要だと考えたのです。
DSi にはカメラやオーディオプレーヤーをつけ、また気に入ったソフトをダウンロードして保存できるようにしました。すると、自分のDSi はほかの人とは少し違うものになる。となると、愛着の湧くものにならないだろうか。われわれが今トライしているのはこういうことです。