患者も薬剤師も離さない! 「薬剤師が就職したい薬局」と呼ばれる小さな実力派薬局のヒミツ
在宅医療向け調剤で布石 抗がん剤提供も視野に
調剤薬局業界は、今、大きな転換期にある。6月の改正薬事法施行に伴い、予想されるのが異業種からの参入。ドラッグストアは薬局としての専門性を強化すべく調剤サービスの拡充を急いでおり、これまですみ分けができていた調剤薬局とドラッグストアの競争激化が予想される。また、薬学部が4年制から6年制へ移行するのに伴い、今後2年間は新卒補充が効かないため、薬剤師争奪戦も一段と激しくなるのは確実だ。
従来、比較的激しい競争をせずにきた調剤薬局だが、中途半端なチェーンほど今後厳しい状況に追い込まれることは必至。薬局としてのありかたも、処方箋を機械的にさばくだけでなく、差別化を図っていかないと、今度こそ生き残れない事態に見舞われようとしている。
そんな状況に立ち向かうため、日生薬局は一つの重点を打ち出した。在宅医療向け調剤サービスである。
背景にあるのは国の在宅医療拡大計画。国は医療費の抑制を視野に、12年までに病床数を現在より13万床減らす考えで、必然的に在宅医療が増えていくものと予想される。
そこで登場するのが、前述のクリーンルームだ。たとえば、終末期医療や重病患者に必要な麻薬製剤、高カロリー輸液調剤などは、空気中に雑菌のない状態で調剤される必要がある。クリーンルームならこうした薬剤の調剤が可能になる。
クリーンルーム開設と同時に、在宅点滴・調剤サービスも始めた。患者からファクスなどで処方箋を受け取り、無菌状態で調剤した高カロリー輸液調剤などを薬剤師が訪問配達、服薬指導も実施する。