患者も薬剤師も離さない! 「薬剤師が就職したい薬局」と呼ばれる小さな実力派薬局のヒミツ

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始まりは給食配給業 柔軟性を基本に据える

調剤薬局は薬剤師が開設するケースが多いが、同薬局を運営する日本生科学研究所の青木勇社長は、もともと給食配給事業を展開していた。だが少子高齢化社会の到来を見据え、1984年、今後伸びると考えた調剤薬局を開設。しかも、薬剤師でもなく、医療機関の経営知識もないのに、無謀にも複数の診療所を集めた「グループ診療所」を開設、その薬局として日生を始めたのだ。

が、診療所のほうは鳴かず飛ばずのまま98年に撤退。ここで青木社長は、今につながる重要な視点を得た。「一つのことに固執しすぎず、世の中の流れに柔軟に対応していくこと」だ。同じ年、今度は大病院前に拠点を構える「門前薬局」として出直しを図り、徐々に店舗数を増やしていった。柔軟さを旨とする青木社長の真骨頂はここからだ。

2000年4月の介護保険法施行に合わせ、その前年には日生を運営する医薬事業のほかに、介護サービスや介護関連機器レンタルなどを手掛ける事業を開始。同時に、介護ヘルパーなどを育成する「日生福祉学園」も立ち上げた。「世の中が変化していく中で何が求められているのか考えた結果、これからは医療と保健と福祉をつなぐ仕組みが必要」と考えたからだ。

当然、設備投資も惜しまない。05年8月には、薬局としては珍しい在宅医療向け調剤ができるクリーンルーム(無菌調剤室)まで造ってしまった。室内に抗がん剤などの調剤に必要な機器を備える充実ぶりだ。「今にこういう設備が生きる時代が来る」と確信する青木社長の背中を押すのが、調剤薬局業界の先行きに対する危機感である。

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