患者も薬剤師も離さない! 「薬剤師が就職したい薬局」と呼ばれる小さな実力派薬局のヒミツ
薬局だってサービス業 充実の「4年間研修」
もう一つ、日生薬局が際立っているのは、薬剤師が顧客第一主義に徹している点だ。薬剤師というと、調剤室に引きこもり事務的な対応だけというイメージがあるが、ここでは約200人の薬剤師それぞれに、患者と薬をつなぐ「サービス提供者」であることが求められる。
佐藤安紀子・医薬事業本部長は言う。「薬剤師はもともと勉強好きで知識はある。けれども今の時代は、単なる知識より知恵を高めないと、患者さんたちの信頼を得られない」。
その“知恵”を身につけさせるべく、同社では入社して4年間研修が続く。その充実ぶりは業界でもつとに有名だ。
「まず、薬局はサービス業で、患者第一ということを教え込む」(医薬事業部の市川友子薬局長)。その言葉どおり、入社3カ月は現場で実際に業務に就く一方、お茶の入れ方から電話のかけ方、処方箋の受け取り方などの受付業務、さらに病気の人の心理などを徹底的に学ぶ。その後、調剤や服薬指導など薬剤師としての実務も身につける。「1年間で自立した薬剤師に育成できるようになっている」(市川氏)という。
学んだことや課題について、最初3カ月は週に1度、その後は月に1度リポートを提出。課題では、あえて不具合な状況を設定し、それを解決するにはどうすべきかをじっくり考えさせる。「実際に書いて考えることで、ただ指示を待つだけでなく、自ら患者さんの心理を感じ取る力や問題解決する力を向上させる」(市川氏)のが目的だ。リポートには店舗全員のコメントももらうようになっており、これが現場に早く慣れる一助にもなっている。
さらに、1年生社員にはそれぞれ2年生が「指導係」として張り付き、うまくできた点、できなかった点など指導内容の報告書を提出。ほかにも、「交換日記」で新人の相談に乗る。その2年生指導係をさらに3年生社員が指導するという具合に、段々方式でサポートする体制が出来上がっている。