●5月以降は選考面接の機会が激減
氷河期再来が囁かれた就職戦線であるが、こうして人気業界の採用戦線を追ってみると、企業の採用活動は意欲もスピードも史上最高の売り手市場といわれた昨年とほとんど変わっていないようだ。しかし、こういった大手企業の昨年来の採用活動の流れに乗ることができたのは、質の採用を掲げる大手のお眼鏡に見合った優秀層といわれる学生が中心。職種で言えば総合職や研究開発職として期待されているレベルである。では、その他の職種に対してはどのような動きになるのだろうか。採用プロドットコムが年末から年明けに行った「採用活動の前半戦で想定する面接選考の時期」では、5月に選考面接の開始を想定している企業数は極端に減少する結果になった。景気回復が見えない現状では、5月以降の採用活動が消極的になるのは当然である。
一方、学生が今までアプローチしていなかった企業と接点を持とうとしても、新卒採用ビジネス業界が採用抑制の影響をモロに受けているため、合同セミナーなどの開催数を増やす余力はない。夏や秋などの通年採用の窓口も、春に優秀な学生を採用することができれば、容赦なくシャットダウンに近い状態になるだろう。
かつて新卒を含む正社員の雇用情勢は景気後退からほぼ1年後に影響を受けるといわれたものだが、猛烈なスピードでの変化に加え、想定外の振れ幅で変化する経済にかつての常識は当てはまらない。大学も学生も5月以降の内定率を眺めている余裕はないはずだ。未内定者を出したくない大学、何としても内定がほしい学生に光明があるとすれば、低下したとはいえ依然1.62倍の水準にある求人倍率である。先の見えない不況下、内定率の低下が大学経営に与える影響は甚大だ。大学側は今こそ雇用の受け皿になりうる企業の求人情報をかき集め、学生に提供・指導すべきだ。

(本社:東京千代田区、代表取締役:寺澤康介)
採用担当者のための専門サイト「採用プロ.com」を運営。新卒、中途、派遣、アルバイトなどの採用活動に役立つニュース、情報、ノウハウを提供している。
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