――ICTを用いたことで教室内に見られた変化はありましたか。
すべての教室ではないですが、教卓の位置が変わりましたね。電子黒板については、日が当たって反射しないように多くの教室では南側に置いています。そこにはそもそも教卓がありましたが、そうなるとそこには置けない。そのためその横に移りました。教卓が「教える場所」から「支援する場所」に移ったんですね。それとともに、先生の役割もファシリテーターとして子どもたちをサポートすることに変わりました。
先生たちの、ICTへの苦手意識は?
――ICTに苦手意識を抱いている先生は多くありませんか。
本校の先生たちについては、ICTへの苦手意識はかなり薄れつつありますが、まだまだ乗り越えなければならないことがあります。ICT導入に際して先生たちには、まず「子どもの学習を支援するのに有効なツールだよね。ICTを利用できる環境があるのに使わないのはもったいない」と説いてまわりました。特に視覚支援については、ICTはその効果は抜群です。
もうひとつ先生方に話したことは、今の子どもが大人になる頃、2035年ごろを考えた時にどのような教育が必要かということです。30歳くらいの若い先生には、これからはもっとテクノロジーが教育の現場に入ってくる時代が来るので、今一生懸命ICTを用いて授業を行うことは、これからも教師として教育に携わる彼ら自身にとってもメリットであると話しています。
――2014年の夏に他校の教員向けセミナーを実施しています。反響はどうでしたか。
都内だけではなく、三重、長野といった地方からも先生たちが参加してくださいました。中には、特別支援学校や高校の先生もいらっしゃいました。
本校でどのようにICTを使っているかという説明を行ったのですが、すべて本校の教員が講師を務めました。従来は企業の担当者が来て説明することが多かったと思いますが、このセミナーのいちばんのねらいは、教員自身が自分たちで実際に行ってきたことをもう一度見直すきっかけとして、さらに力をつけてほしいということでした。人に教えることでいちばん力がつくのは、自分自身です。
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