2016年の世界経済は米国次第で大きく変わる 「独り勝ち」米国経済が傾いたらどうなる?

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米国で好調なサービス業界と消費者経済は、今のところダメージを受けていない。しかし、2008年の金融危機では、世界経済は予測不能な状態で絡み合っていることを浮き彫りにした。中東や朝鮮半島の情勢が悪化すれば、経済に大きな混乱を引き起こす可能性もある。

何らかの状況が悪化しても、世界経済への影響を抑制するものが現在は期待できない。多くの国で政府は多額の負債を抱え、そうでない国でも、歳出拡大によって景気刺激を図る兆しを見せていない。

「均衡のとれた世界経済」は実現するか

では、米国経済が好調を維持した場合には、どんなリスクがあるだろうか。

2008年の金融危機が起きる前、米国の消費経済は世界にとって最後の砦だった。他国の経済が軒並み低迷する中、米国の消費者は買い物をし続けた。その副作用が債務の増加であり、危機以前は住宅ローン関連証券の形が広く取られた。

各国の経済が混迷し、米国だけが安定を維持する状況が長引くほど、その傾向は益々強まるだろう。それは、米国の消費に火をつける一方で、ドルの強さが国内の輸出業界の足かせになることを意味する。より広い意味では、危機の時代に望んだ均衡のとれた世界経済は実現しないだろう。

つまり、世界経済にとってベストなシナリオは、米国経済の低迷という理由以外で、米国とその他の国のミスマッチがなくなることだ。もし欧州と日本の経済が急成長し、中国が消費者主導の経済にシフトし、その他の新興市場が安定した持続可能な成長を維持しつつ厳しい年を乗り切ることができれば、それは実現するだろう。

予測不能なリスクに溢れたこの世界にとっては厳しい注文だ。望みは、2016年はあと50週ほど残っているということだ。

(執筆:Neil Irwin記者、翻訳:前田雅子)

(c) 2015 New York Times News Service

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