デキない男子が語る「ビジョン」が残念なワケ デキる人は実体験に基づく「物語り」がうまい

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「スベらない」と言えば、お笑い芸人のスベらないトークを思い出します。日常によくあるささいな出来事に意味づけしたりほかの出来事と関連づけたりして物語りを構成し、笑いや共感を呼ぶ話芸です。実は、ビジョンもまったく同じ。次の3つのお作法でスベらない構成を考えます。

スベらない「ビジョン」とは?

一点だけを見ていたら、ビジョンはスベッてしまいます
① 子供の頃から振り返る

キャリアプランでは子供時代はスルーしがちですが、実は価値観に大きく影響している時期です。家族の思い出、子供の頃の原体験はビジョンの「元ネタ」にしやすいのでお勧めです。

② ほろ苦い経験を上手に使う

失敗や挫折、悲しい出来事といったほろ苦い経験は、「世界が1ミリでも」の価値観に気づく機会。相手の共感を得やすいという効果もあるので上手に使っていただきたい経験です。

③ 別々の体験をひもづける

スティーブ・ジョブズも「点と点をつなげる」という名言を残しているように、別々の体験に共通点を見つけたりつながりを見つけることも効果的です。

「はたらく女性のかていきょうし」にキャリアプランの相談に来られた女性には、このスベらないお作法を使ってコンセプトをまとめています。はたらく女性のスベらないビジョンはだいたい次の2つのパターンのどちらかにまとまることが多いようです。

「私のルーツ」:自分が大事にしてる価値観に気づく物語り

「私の戦い」:うれしい経験、つらい経験を通して、自分が追い求めていたことの物語り 

自分のその先のキャリアを考えるとき、ルーツとか追い求めていたことのような自分の過去を見つけると、わくわくするビジョンが見つかる。ある日本の思想家が残した言葉を思い返すと、それは人間にとって自然な法則なのかもしれません。

われわれは、われわれの歴史のなかに、われわれの未来の秘密が横たはつてゐるといふことを本能的に知る 〜 岡倉天心

 

タブ タカヒロ ビジネスコンサルタント、はたらく女性のかていきょうし

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たぶ たかひろ / Takahiro Tabu

東亜大学トータルビューティ学科客員准教授。外資系アパレル2社→MBA取得→コンサルティングファームという経歴で現在に至る。新卒でやたらと有能な女性の多い職場で女子力を鍛えられ、海外勤務も経験。MBA取得後、コンサルティングファームにて、男くさいロジックと競争の世界に翻弄され、一瞬自分を見失ったものの、土壇場で開眼。周りを巻き込み味方を増やしてわくわく仕事をするスタイルを確立。週末にライフワークとして行っている「はたらく女性のかていきょうし」は大人気の数カ月待ち。セミナー開催や、雑誌取材など多方面で活躍中。共著に『外資系コンサルはなぜ、あえて「手書き」ノートを使うのか?』(KADOKAWA)。

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