セレブシェフのような本格的な料理を作ろうという人と、もっとヘルシーな食生活をしたいと考える人が増えました。そんな両方の中流層をターゲットにした高級食材店がホールフーズ・マーケットです。
70年代後半にテキサスで誕生したホールフーズは、従来のスーパーマーケットとは品揃えをまったく変え、「ハイエンドのオーガニックフード」を中心に売る巨大スーパーとして2001年にニューヨークに進出。折からのセレブシェフブームと健康への関心を背景に、全米のオーガニックブームを盛り上げました。
一方、90年代から広がり始めたのがグリーンマーケットです。近郊農家が市場を通さず直接公園などで販売するマーケットです。農業自体が大企業化し生鮮食料品が他州さらには外国から輸送されてくるのが当たり前になった時代、地産地消=フレッシュでヘルシーで安全な食、さらに運送による二酸化炭素ガスを減らす環境に優しい食、という認識が生まれ、今では全米に普及しています。
「食」がファッショナブルなものになり、さらには健康、安全、環境と言ったキーワードが加わりました。
ここまで読んで、米国の食の変化がやっとわかった! という人も多いことでしょう。そう、美味しいものにこだわるだけのグルメではなく、健康や環境も含めて食にこだわる人たちが「フーディ」と呼ばれるようになったのです。ミレニアルズにとって、「食」はライフスタイルや価値観に密接に関わっています。
親の世代より「ヘルシーな食生活がしたい」
調査会社ミンテルによれば、ミレニアルズの約6割が「自分はフーディ」と答えています。こだわりをはっきりと自覚していることがわかります。ここからはそのこだわりの部分を1つひとつチェックしていきましょう。
ミニレアルズを象徴する食べものをひとつ挙げるとすれば、オーガニックのケールとキヌア入りのサラダ、最近ちょっとおしゃれなレストランで必ず見かけるメニューです。ケールはキャベツの仲間で濃い緑の硬い葉もの野菜で、キヌアはビタミンと植物性タンパクが豊富な穀類です。
オーガニックフードは日本でも当たり前になってきたと思います。ギャラップの調査によれば、米国人45%がオーガニックを積極的に食生活に取り入れようとしています。中でもミレニアルズは53%と過半数を超え、65歳以上の33%を大きく上回り、オーガニックフード普及の牽引力となっていることがわかります。
またキヌアやチアなど、植物性のプロテインへの注目が集まっています。特にベジタリアンではないミレニアルズも、よりヘルシーなライフスタイルを求めてこうした新しい食べ物にトライしているのです。
ミンテル社の調べては、ヴィーガン(ベジタリアン)やグルテン・フリーなど従来はなかった食べ物にトライするミレニアルズは約7割にのぼり、ミレニアルズ以外の55%を大きく上回っています。
ハートマン・グループの調べでは、「親の世代よりヘルシーな食生活をしたい」と考えているミレニアルズは約4割でこの数も増加傾向にあります。食品の成分表を見る人は33%で2011年より3%増加、添加物が入っていないものを選ぶ人は30%で7%の増加です。