【産業天気図・造船・重機】造船部門の収益が本格浮上へ。プラントは現地工事で明暗。が、単体機械の好調続く

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2008年度前半は「晴れ」、08年度後半は水平線に大きな雲が湧き上がるが、全体的な空模様としては「晴れ」が続く。
 足元、新造船の受注の勢いは鈍っている。造船各社は3、4年分の受注残を抱えドックが満杯状況にあるうえ、海運会社も海運市況の乱高下から新規発注に慎重になっているためだ。ただし、収益的にはこれからがブーム本番。過去に受注した赤字船が07年度でほぼ一掃され、08年度には好採算船が本格的に売り上げに立ってくる。07年度の三菱重工<7011>の造船部門の営業利益は40億円の見通しだが、「08年度は3ケタを期待したい」としている。各社とも造船部門の収益が劇的に改善することは確実だが、反面、予想以上の鋼材値上げが直撃する。1ドル100円台の円高も定着すれば、増益幅がかなり圧縮される可能性もある。
 プラント部門は、会社によって明暗がはっきり分かれる。カタールで1兆円近いLNGプラントを連続建設中の千代田化工建設<6366>は資材高・労賃高に苦しんでいる。2月の第3四半期の業績発表時点では通期見通しを据え置いたが、カタールでの合弁相手=仏テクニップは2億ユーロの工事損失引当金を計上した。千代化も08年度にかけて収益悪化に見舞われる可能性が高まっている。
 一方、中東市場の工事錯綜を”予見”した日揮<1963>は、カタールのガス処理プラントでも事前に資金を集中投入して工事を急がせ、無難に完工を迎えつつある。08年度に売り上げに立ってくるGTLプラントについても、資材費込みの「ランプサム」ではなく、「コスト+フィー」方式で受注しており、資材高リスクを回避する。インド、シンガポール、タイなど工事地域の多角化を進めた東洋エンジニアリング<6330>も「08年度は少なくとも07年度並みの利益を確保する」としている。
 また、大型コンプレッサや荷役運搬機械など現地工事を伴わない単体の重機械類は、内外とも引き続き堅調。航空機分野はボーイングの最新鋭機787のデリバリーが大幅に遅れることが明らかになったが、その遅れを取り戻すためにも、08年度後半の生産現場は一段と忙しくなる。円高・資材高という水平線上の雲の膨らみは不気味だが、少なくとも仕事量に関しては、08年度は高操業・繁忙感に追いまくられる1年となる。
【梅沢 正邦記者】

(株)東洋経済新報社 四季報オンライン編集部

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