瀬戸際シャープ・奥田隆司社長を直撃 鴻海との提携、資金繰りは大丈夫か
資本提携は早く済ます必要があるというのが世の中の論調。われわれとしても早く済ませたかった。が、郭さん、鴻海側の関心は、もともと事業シナジーにある。その結果、シャープの事業がどう良くなっていくのか、シャープの株価が上がっていくのか。その後にシャープ本体への出資がある。この立ち位置の違いが論点にある。
--シナジーがもう少し具体的に見えてくるまでは出資はできないということか。
一緒ですよ。にわとりが先か卵が先かではなくて、一緒でないとだめということですね。
--結局、30日のミーティングで合意できなかった。
鴻海側も、記者会見がドタキャンみたいなことになって、その収拾で相当に混乱していて、次のミーティングなんかできる状況ではなくなった。
--奥田社長はその間ずっと堺で待っていたのか。
私はいったんここの本社に戻った。
--本社で郭董事長が帰ってしまったことを聞いた。
そうです。
--そのことを聞いたときにどう思ったか。
スケジュールの都合で急きょ帰らざるをえないと聞いたので「あ、何かあったのかな」と。だから、実務部門とのミーティングをアレンジしようとしたができなかった。
(鴻海側は)日本のマスコミのヒートアップにびっくりされたみたいですね。
--ところで、奥田社長は、郭さんに何回会っていますか。
テレビ会議では何回か会って話をしているけれども、社長に就任してから直接は会っていません。なかなかスケジュールがミートしない。
--8月27日には電話で話した。
話しました。今回、(郭さんが)日本に来ているので、マスコミの報道についてだけは紳士協定を守ってやりましょうねと。英語で話をした。
--紳士協定以外に、協業や出資については話したか。
話していない。台湾の経済団体の御一行様を、ホストをテイク・ケアしている合間にかけてこられたみたいですね。
--電話会談は本当に数分だったわけですね。
そもそも1週間くらい前から、鴻海の担当者が来日し、なんとか8月までに共同声明を出すということで話を進めていたと思う。
事務方はいろいろと……たとえば、中小型の液晶パネルの生産立ち上げとその拡大についてのディスカッションをしていた。
--シャープがアドバイスをもらうということか。
お互いにですね。